ガザ唯一の発電所が燃料切れ、200万人に電力危機迫る

電力不足のため暗闇を歩く人々

2017.04.18 Tue posted at 10:15 JST

(CNN) パレスチナ自治区のガザで唯一の発電所が燃料を使い果たし、200万人の住民が1日4時間しか電気を使えない状況に陥っている。国連は、ガザが「居住不能」地区になりかねないとして危機感を示している。

イスラム組織ハマスが支配するガザの発電当局は17日に記者会見し、パレスチナ自治政府が課す燃料税のために発電所の燃料を調達できなくなったと主張した。一方、パレスチナ自治政府はハマスに対して効率的な発電所の運用ができていないと反論している。

ガザ発電当局は17日に開いた記者会見で、パレスチナ自治政府とハムダラ自治政府首相がガザの電力危機に火をつけようとしていると非難。自治政府が燃料費の2倍を超す税金を課しているため、発電所を稼働し続けることができないと訴えた。

一方、パレスチナ自治政府高官は、発電所を効率的に運用できない責任はハマスにあると反論。先に発表した声明の中で、ハマスがガザを支配する以前は電力不足はなかったと指摘し、ハマスによる「ガザ地区運営能力のなさ」が露呈したと批判した。

ガザでは今年1月、電力不足に対する抗議デモが拡大し、カタールとトルコが1日当たり6~12時間分の電力をまかなうための燃料を3カ月間、同発電所に供給することで合意していた。

しかしその燃料も今月16日に底を尽き、ガザではイスラエルとエジプトから輸入する電力しか使えなくなる。輸入でまかなえる電力は需要の3分の1に満たない。

ガザ衛生当局は17日、2日以内に問題を解決しなければ、1日当たり200~250人の手術を中止せざるを得なくなると訴えた。

唯一の発電所が燃料切れに陥っている

ガザ中部に住む住民(35)は、電力不足によって生活が一変したと語る。「冷蔵庫に入れなければならない食品は買わなくなった。毎日その日に調理する必要があるものを買う。私たちの生活は、夜間だろうと日中だろうと、電気がついた時から始まる」

ガザでは電力不足が原因で失業者が急増し、飲料水の不足にも見舞われている。

国連の中東和平プロセス担当人道調整官、ロバート・パイパー氏は地元紙の取材に対し、ガザの問題について「慢性的な問題が積み重なり、居住不能となる転換点に近付いている可能性がある」との見方を示した。

ガザはイスラエルによって陸路と海路を封鎖され、物資や人の移動も制限されている。ガザの問題を生じさせている主な原因はそこにあり、このためにガザの経済運営は不可能になっているとパイパー氏は指摘した。エジプトとの国境も、まれに短時間開く以外は、ほとんど閉鎖された状態にある。

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