魂に安らぎを、タイのゾウ保護施設を訪ねる<2> 感情の動物

地面に腰を下ろし、ゾウを見守るルイーズ・ロジャーソン氏

2017.08.20 Sun posted at 09:31 JST

(CNN) タイのプーケット島にできた初のゾウ保護施設、プーケット・エレファント・サンクチュアリ(PES)。その共同創設者であるルイーズ・ロジャーソン氏は、PESで初めてゾウに近づいた時のことを覚えているという。

同氏は「ゾウが近くにいると(その大きさに)思わず息を飲むが、彼らは穏やかで落ち着いており、私の声に耳を傾ける」と、その時の様子を振り返った。

広さ約12ヘクタールのPESには現在5頭のゾウがおり、そのうち3頭は昨年12月に救出された。

PESは、島の人脈を通じて救出を要するゾウがいると連絡が入ると、そのゾウを所有者から買い取る。

ゾウたちは、日中は自由に歩き回り、夜間は28メートル×12メートルの巨大なシェルターの中で過ごす。

PESの来場者はゾウには乗らないが、その代わりゾウに餌を与えたり、ゾウが歩き回ったり、遊んだり、水浴びをする姿を眺める。

「驚くのはここに引き取られてくるゾウたちが非常に短期間で回復していることだ。中には60代のゾウもいる。彼らは人間への服従を強いられながら一生を送ってきた」とロジャーソン氏は言う。

「ゾウは感情の動物で、幸福や悲しみを感じ、愛情を示す。そしてここでは、彼らは何も恐れず、彼ら本来の姿を取り戻している」

タイ国内のツアーガイドも、ゾウが虐待されている事実に衝撃を受けるという

「虐待」の事実、地元関係者も知らず

ロジャーソン氏がゾウについて学んでほしいと思っているのは旅行者だけではない。

同氏は、「プーケット島の新しいゾウ保護施設ということで、これまで好奇心旺盛な何人かのタイ人ツアーガイドがPESにやってきた」と述べ、さらに次のように続けた。

「ある女性は、ゾウたちがどれほどひどい扱いを受けているかを知り、見るからに動揺し、私に『10年間、旅行者たちに(ゾウに乗るアトラクションのある)トレッキングキャンプに行くよう勧めてきたが、ゾウが虐待を受けていることや、自然環境の中にいる時の彼らの姿を全く知らなかった。ここ(タイ)は私の母国であり、ゾウはタイの国獣だ。これまでキャンプを勧めてきたことに強い罪悪感を覚える』と語った」

「鞍を外す」運動

ロジャーソン氏率いるPESのチームは、ゾウがゾウらしく生きられるようにするために、次のことを世界に広めようとしている。すなわち人々にゾウを観察し、理解してもらえば、それが生涯にわたる重労働を強いるアトラクションの代わりになり得るのだという考えだ。

「われわれはこの取り組みを鞍(くら)を取り外すという意味の『サドルオフ』運動と呼んでいる。変化を受け入れ、活動に賛同するキャンプがあれば、われわれは喜んで、あらゆる方法で支援する」(ロジャーソン氏)

次回「魂に安らぎを、タイのゾウ保護施設を訪ねる<3> 広がる「救済」の取り組み」は8月21日公開

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