インドで続く女児中絶、活動団体が潜入作戦で告発

インドでは毎年、多くの女児中絶が行われている

2017.03.27 Mon posted at 18:50 JST

ニューデリー(CNN) 男児偏重の風潮が残るインドでは、胎児の性別が女と分かって人工中絶を望む親が後を絶たない。現状を懸念する西部マハラシュトラ州の活動家らが、性別選択に手を貸す医師らの告発に取り組んでいる。

インドでは1994年に性別選択を禁止する法律が制定され、医師が妊婦に胎児の性別を告げる行為も違法とみなされるようになった。しかし一部の医師は、高額の料金と引き換えに性別の告知に応じている。

マハラシュトラ州の医院で、妊婦に1万2500ルピー(約2万1000円)の告知料を請求する医師。妊婦は支払いの場面を一部始終、隠しカメラで撮影していた。

この妊婦は、同州で性別による中絶への反対を訴えている団体のボランティアだった。告発された医師は先週、性別選択の医院を経営し、中絶で不正に金をもうけていたとして有罪判決を受け、禁錮3年と罰金の刑を言い渡された。

団体を設立した活動家、バルシャ・デシュパンデさんによると、同団体では04年以降、同様の作戦を数十回繰り返し、20人を有罪に追い込んだという。

同国では、胎児が女だという理由で毎年500万~700万件の中絶手術が行われていると推定される。01年の国勢調査では男児100人に対して女児93人だった比率が、昨年は女児89人近くまで落ち込んだとの指摘もある。

デシュパンデさんによると、マハラシュトラ州の状況も近年、悪化の一途をたどっている。

94年の禁止法は抜け穴が多く、デシュパンデさんらの働き掛けで2002年に改正された。

女児中絶に関する啓発ポスター=2010年

性別を判定できる超音波検査の装置を使う医師に登録が義務付けられ、地方当局が啓発活動を進めることも盛り込まれたが、15年たった今も法を執行する「政治的意志」が欠けていると、デシュパンデさんは懸念する。

活動を始めた当初は、安い録音機を持って自ら証拠を集めていた。今ではホットラインに入る市民からの通報に基づき、ボランティアの妊婦が医院に出向く手法を取っている。

当局が法の執行態勢を強化しない限り、中絶を止めるにはこれが唯一の道だと、デシュパンデさんは話している。

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