バーミンガム(CNN) ロンドン中心部の国会議事堂周辺で起きたテロ事件の実行犯として射殺されたカリド・マスード容疑者(52)は高校時代まで「人気者のスポーツマン」だったが、その後いくつもの偽名を使い、暴力事件などで有罪となった前歴を持っていたことが分かった。
マスード容疑者は1964年12月25日にイングランド南東部ケント州で生まれた。出生時の名前は「エイドリアン・ラッセル・アジャオ」だった。
英PA通信が元同級生の話として伝えたところによると、同州内の裕福な町にあった男子校に5年間通い、81年に卒業した。「パーティー好き」の人気者で、サッカーに打ち込んでいたという。
元同級生は「とても人当たりの良いしっかりした生徒で、だれからも好かれていた。遠慮がちなところはなく、スポーツがとても得意で、母親はキリスト教徒だった」と話している。
しかし卒業後に何があったのか、まず19歳だった83年に器物損壊で有罪となり、それ以降も暴行致傷や攻撃的武器の所持、公の秩序を乱した罪などを重ねた。ただ警察によれば、テロ関連の罪に問われたことはなかった。
「エイドリアン・エルムズ」という名前を使っていた2000年には、パブで口論となった相手の顔を刃物で切り付けた罪を認め、禁錮2年の刑を言い渡された。
釈放後は各地を転々としていたとみられる。在ロンドンのサウジアラビア大使館によると、05年11月からの1年間と08年4月からの1年間は同国に滞在し、英語の教師をしていた。15年にも巡礼者向けの特別ビザを取得して同国を訪れた。当時、サウジ当局の監視網にはかかっていなかったという。
近年は家族とともにバーミンガム市内に住んでいた。近隣住民の関係者はCNNに「おとなしくて近所の人と話をすることもなかった」との印象を語った。6~7歳とみられる男女2人の子どもがいた様子で、「ごく普通のイスラム教徒の一家に見えた」という。
警察は、マスード容疑者がどの時点でイスラム過激派思想に感化されたのかなどについて、引き続き詳しく調べている。
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