国境の壁建設の応札開始 高さ、硬度や色で注文 米政府

壁のイメージ図。米国側からの景観は風景に溶け込むことが求められている

2017.03.25 Sat posted at 17:21 JST

ワシントン(CNN) トランプ米大統領が不法移民対策の一環として進めるメキシコ国境沿いの壁建設で、米税関・国境警備局は25日までに壁の機能に対する要望項目をまとめると共に、業者の入札受け付けを開始した。

壁建設が現実化すれば、米国史上、最大の公共事業になるとも評される。

同局は入札開始の通知の中で、壁のデザインは物理的に堂々とした高さになるだろうと説明。高さは少なくとも18フィート(約5.5メートル)と記されているが、30フィートに達することも望んだ。

はしごなしで登れないようにし、鉤縄(かぎなわ)などの道具を使っても乗り越えが難しいようなデザインであるべきと注文。壁の下を掘ったり、内部をハンマーや車のジャッキ、ノミなどの道具を用いて壊しにかかっても少なくとも30分持ちこたえるような硬度も要望。この時間は理想的には4時間以上が好ましいと付け加えた。

また、壁は美観的な見地からも満足すべき色調になるべきとし、米国側の領土の景観への融和も期待した。壁をメキシコ側から眺めた場合の景観への影響には言及していない。

壁建設では当初、材料はコンクリート製と主張していたが、米国境警備隊がメキシコ側の状況を把握するため透けて見えるような材質の採用は検討対象になるとの方針に転じた。

入札に参加する業者は今月17日から約2週間内にそれぞれの壁建設計画の提示を求められている。デザインはほぼ全面的に業者に任せられる。

はしごなしでは登れない、容易に貫通できないなどの仕様が求められている

政府は応募の作品の中から長さ30フィート(約9メートル)の試作品製作に見合うものを複数選ぶ。試作品の製造費は20万ドル(約2220万円)から50万ドル要する見通し。また、業者は壁の貫通実験用に長さ10フィートの試作品も提供する。

メキシコ国境沿いの壁建設はトランプ大統領が選挙戦中に打ち出した主要な公約の1つ。壁は美しくなければならず、使う資材は出来る限り米国製品であるべきとも主張していた。

入札開始の通知では、壁建設の総工費には触れていない。さまざまな試算が出ており、100億ドルから250億ドルの間との指摘もある。トランプ氏は先に公表した2018会計年度(17年10月~18年9月)予算案の概略の提案の中で壁建設の最初の歳出分として10億ドルの配分を求めていた。

壁建設の施工企業の選定では、他の政府契約の事業と同様の手順が踏まれると見られる。非公開が原則の選考委員会が結成され、デザインの善し悪しなどを含む提案内容を精査し、当該企業の事業達成能力も調べられる。同委は最大で20の提案をひとまず選び、各業者に総工費の算出などの各質問への回答を求める段取りになると予想されている。この後、試作品の製造に取り掛かる複数の契約が交わされる見通し。

ただ、政府は今回開始した入札受け付けは壁全体の建設に適用されるものではなく、新たな入札が将来実施される可能性があることも示唆している。

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