G20、共同声明に「保護貿易への対抗」盛り込まず

G20の声明から「反保護主義」の文言が消えた

2017.03.19 Sun posted at 18:00 JST

ロンドン(CNNMoney) ドイツ南西部の保養地バーデンバーデンで17~18日に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明から、これまで盛り込まれていた反保護主義の文言が消えた。

昨年の声明には「あらゆる形の保護主義に抵抗する」との文言があったが、今年は「経済に対する貿易の貢献を強化する」取り組みという、当たり障りのない表現にとどまった。

ドイツのショイブレ財相が閉幕後に語ったところによると、会合では長時間にわたって率直な意見が交わされた。

中国やオーストラリアは反保護主義の文言を残すよう主張したとされるが、米国が削除を強く求めた。

今年1月に就任した米国のトランプ大統領はすでに環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を宣言し、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しも表明。米国の雇用を守るためとして、輸入品に高い関税を課す方針を示している。

トランプ氏は17日、メルケル独首相との共同記者会見でも「米国が何年も受けてきた不公平な扱いに終止符を打つ」「自由貿易によって悪いことがたくさん起きた。NAFTAは米国や我が国の企業、特に労働者にとってとんだ災難だ」などと主張した。

これに対してメルケル氏は、欧州連合(EU)と韓国の自由貿易協定が双方に利益をもたらしている例を示すなど、自由貿易の利点を強調した。

トランプ政権が主張する保護主義的な政策には、対米貿易に依存する多くの国が懸念を示している。

米国の年間輸入総額2兆7000億ドル(約305兆円)のうち約半分は、G20メンバーの中国、カナダ、メキシコ、日本、ドイツが占めている。

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