ホワイトハウス、英政府への謝罪を否定 盗聴報道の言及で

スパイサー米大統領報道官のコメントに英政府が反発を示していた

2017.03.18 Sat posted at 10:39 JST

ロンドン(CNN) 英情報機関が昨年オバマ前米大統領の要請で当時大統領選候補者だったトランプ現大統領を盗聴していたとの報道をスパイサー大統領報道官が引用した件で、スパイサー氏は17日、ホワイトハウスは英政府に謝罪していないと述べた。

ただ、米政権高官はこれに先立ち同日、スパイサー氏とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)がスパイサー氏のコメントについて英政府に実質的に謝罪したとCNNに明かした。スパイサー氏のコメントはホワイトハウスで16日に行われた記者会見で裏付けなく出されたもの。同氏はこの中で、英政府通信本部(GCHQ)が昨年の大統領選中、トランプタワーの盗聴に協力していたとする米FOXニュースの報道を引用していた。

スパイサー氏は17日午後、記者団に対し「我々は何も後悔していない」と発言。この問題をめぐり米政権から英政府に謝罪があったかとCNNの記者に聞かれると、「いや、我々は単に報道内容を伝えただけだ」と述べた。

ホワイトハウスの当局者は同日、CNNに対し、マクマスター氏が16日にスパイサー氏のコメントについて英国側と協議したことを明かした。協議は「和やか」な雰囲気で、マクマスター氏は、スパイサー氏のコメントは「意図的なものではない」と説明したという。

同当局者によれば、英当局者から16日に少なくとも2件の電話があった。ホワイトハウスの複数の当局者によれば、電話2件は英国のダロック駐米大使とグラント英首相補佐官(国家安全保障担当)によるもので、2人はそれぞれ別々にスパイサー氏とマクマスター氏に懸念を伝えたという。これに対し両氏は、スパイサー氏は公になっている報道に言及しただけで、特定の記事への支持を表明したわけではないと説明したという。

英当局者によると、ダロック大使はホワイトハウスで開かれたイベントでスパイサー氏と直接面会もした。会話の雰囲気は和やかではなかったという。

GCHQも盗聴の主張は「ナンセンス」だと声明を出した

スパイサー氏が16日の記者会見で読み上げたGCHQの盗聴に関する主張は、FOXニュースで司法アナリストが14日に提示したもの。

スパイサー氏はこれを引用する形で、「情報機関筋3人がFOXニュースに明かしたところによれば、オバマ前大統領は(トランプ氏を盗聴するために)命令系統から逸脱していた。米国家安全保障局(NSA)も米中央情報局(CIA)も使わず、GCHQを使った」と記者団にアナリストの発言を読み上げていた。

英首相府の報道官は17日、スパイサー氏の引用を受け複数の英高官がトランプ政権に抗議したと言及。「これらの主張はばかげており、無視すべきだとの考えを米政権に明確に伝えた。これらの主張が繰り返されることはないとの確約を得た」と述べた。

またGCHQも異例の声明を発表。盗聴の主張は「ナンセンス」であり、無視すべきだと述べた。GCHQが特定の任務についてコメントするのはまれで、こうした荒い表現を使うことはほぼ皆無だ。

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