米国務長官、中国企業の制裁強化を警告へ 北朝鮮絡みで

日中韓3カ国の歴訪を開始したティラーソン国務長官

2017.03.16 Thu posted at 18:59 JST

ワシントン(CNN) 日本などのアジア諸国歴訪に出発したティラーソン米国務長官が中国外相らとの会談で、北朝鮮と取引する中国企業や銀行に対する金融制裁の強化の準備を警告する方針であることが16日までにわかった。

トランプ米政権の複数の高官が明らかにした。長官は同時に、弾道ミサイルや核兵器開発を加速している北朝鮮を押さえるためのより広範な手立てへの中国の協力も促す考え。イランの核合意を実現させた、国連安保理の常任理事国5カ国にドイツを加えた国際的な協力態勢の構築を意識したものともされる。

長官はまた、中国指導陣との会談で同国の習近平(シーチンピン)国家主席が今年4月に予定する訪米の下準備をすると共に、主権論争が続く南シナ海情勢、米中貿易の現状、台湾問題や韓国への高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)と無人機配備などの懸案事項を取り上げるともみられる。

米政府当局者によると、北朝鮮との取引に関与している中国企業への新たな制裁は北朝鮮による武器輸出入に加担しているとの証拠の入手後に発動させることを考慮している。

米シンクタンク「ヘリテージ財団」の上席研究員によると、北朝鮮と関係があった中国の銀行や企業への米国の圧力が功を奏したことは2000年代半ばにあり、中国銀行が米国による制裁リスクをかわすため中国政府に逆らう形で北朝鮮との取引を断ち切っていた。

兵器開発を加速している北朝鮮を抑止するために中国側の協力を促す考え

同研究員は、北朝鮮問題の解決策を模索する上で中国は解決策に与(くみ)する側というより問題を生じさせる側だったと主張。国連決議の効果を薄めるような抜け道策の確保を試みてきたとの批判をにじませた。北朝鮮の経済活動の90%は中国と関係があるとされる。

米国務省のトナー報道官代行は北朝鮮の核開発問題などに触れ、ティラーソン長官と中国外相の間の折衝は既に始まっていると指摘。北朝鮮に自らの行動は代価の支払いを招くことを痛感させるような圧力を掛けるため次に取るべき措置などを検討していると述べた。その上で「米国は中国側の一段の行動を求めている」と説明した。

一方、中国外務省のアジア局局長はCNNとの異例の会見に応じ、米国が中国企業に対する新たな制裁に踏み切らないことを期待すると表明。制裁は物事に対処するための正当な措置ではないと述べた。米国が制裁を発動した場合の中国の対抗策については、直接的な回答は避けた。

トランプ政権は米国の経済制裁に関連して中国企業への締め付けを強めており、米商務省は先週、イランと北朝鮮に科す制裁違反で中国企業ZTEに巨額の罰金を命じていた。オバマ前政権も昨年9月、北朝鮮のための資金洗浄に加担していたとして中国企業と関係者4人を訴追していた。同政権が北朝鮮絡みで中国企業を制裁した初の事例ともなっていた。

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