(CNN) オランダ当局は11日、トルコのチャブシオール外相が乗った飛行機の着陸許可を取り消した。同氏はこの日、ロッテルダムで開かれるトルコ人在住者の政治集会で演説する予定だった。
これに対し、トルコのエルドアン大統領はオランダを「臆病で卑劣」な「ナチス残党のファシスト」と呼んで強く非難した。
トルコでは4月16日、大統領の権限強化を含む憲法改正案をめぐって国民投票が実施される。同国の政治家らは投票権を持つ在外トルコ人に支持を呼び掛けるため、欧州各地で集会を開いてきた。
エルドアン氏は数日前、ドイツで予定していた集会が当局に拒否されたことを受け、メルケル独首相に対してもナチスを引き合いに出した同様の批判を展開。メルケル氏の怒りを買っていた。
チャブシオール外相は渡航前、オランダに入国を拒否された場合は「厳しい制裁措置」を取ると述べ、それが原因で両国間の緊張が高まっても「放っておけばいい」などと発言していた。
オランダのルッテ首相はこの発言に強い反発を示し、「トルコ在外投票へ向けた集会の開催自体に異議はないが、公共の秩序と安全を確保するための指示には従ってもらわなければならない」と強調。トルコ側にはこのルールを守る気がないと指摘していた。
オランダでは15日に総選挙が予定され、イスラム圏からの移民問題が大きな争点となっている。躍進が予想される反移民の極右、自由党(PVV)のウィルダース党首は11日、着陸を拒否した当局の判断を歓迎し、「PVVからの強い圧力」の成果だと主張した。
一方、トルコ国営アナトリア通信は同日、チャブシオール氏に代わって別の閣僚が陸路ロッテルダムへ向かうとの見通しを伝えた。