エジプト・イスマイリア(CNN) エジプトのシナイ半島北部の町アリシュではこの1カ月ほど、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の分派によるキリスト教徒の殺害が相次いでいる。
2月21日に起きた事件では、銃を持った「ウィラヤット・シナイ」というISIS分派の男らが民家を襲い、キリスト教徒か確認してから男性住民を殺害、略奪したあげく家に放火したという。
この事件以降、アリシュから200キロ離れたイスマリアの町には、500人を超える避難民が到着している。教会によればエジプト国内の別の県に逃げた家族も多く、どのくらいのキリスト教徒住民がアリシュに残っているかは不明だ。
政府の公式な統計はないが、研究者や人権団体によればキリスト教徒はエジプトの総人口の10%を占める。
エジプトの農村部では、イスラム教徒住民とキリスト教徒住民の流血の争いがしばしば起きている。たいていはキリスト教徒側が村を追い出され、争いの中で起きた犯罪が罪に問われることはめったにない。
だがアリシュで起きた暴力事件はこれとは異質のものだ。
「宗派対立による暴力事件には普通、教会の建設とか(異なる宗教の信者間の)恋愛ざたといったきっかけがある。だが最近の事件では単にキリスト教徒だからという理由で標的にされている」と、人権団体の関係者は言う。
エジプト軍はシナイ半島北部における対テロ戦を優位に運んでいると主張している。2月には、過激派が逃げ場所にしていたシナイ半島中部の山を占領したという。
だが住民の中には、守ることはできないから逃げろと警察からアドバイスされたと語る人もいる。