ワシントン(CNN) ニューヨークで来週予定されていた元米高官らと北朝鮮との非公式協議が中止されたことが27日までに分かった。協議に出席することになっていた2人の人物が語った。
北朝鮮からは協議に向け、外務省の対米責任者ら6人の代表団が訪米する予定だったが、トランプ政権は24日、北朝鮮代表団へのビザ発給許可を取り消した。米国側は元駐中国大使やクリントン政権の対北朝鮮交渉担当者、ブッシュ政権のアジア担当顧問らが出席することになっていた。
しかし協議の手配を進めていた全米外交政策協議会(NCAFP)のトップ、ドナルド・ザゴリア氏が24日、出席予定者らにメールで中止を伝えた。ザゴリア氏はこの数時間前のメールで、北朝鮮代表団へのビザは発給されるとの見通しを示し、協議は予定通り開催されると述べていた。
北朝鮮をめぐっては、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が殺害された事件を調べているマレーシア当局が同日、遺体から猛毒の「VX」が検出されたと発表したばかり。VXは国連が指定する大量破壊兵器のひとつだ。
韓国当局は北朝鮮が正男氏を殺害したと主張し、マレーシア当局は北朝鮮国籍の男4人を容疑者として指名手配している。
出席予定者の1人が匿名を条件に語ったところによると、米国務省は協議の開催を支持していたものの、トランプ政権がVX検出の情報を受けてこれを覆し、中止を決めたとみられる。
米国内で最後に北朝鮮との非公式協議が開かれたのは2012年。今回実現すれば、トランプ政権の対話姿勢が北朝鮮側に伝わり、交渉の進展につながる可能性もあるとみられていた。
米国務省の報道官は、非公式協議の予定はないとの立場を示し、個別のビザ手続きに関して詳細に語ることはしないと述べた。
北朝鮮市民に聞く「トランプ大統領をどう思う」