米・メキシコ国境の既設の「壁」、許した侵入は9千回以上

米・メキシコ国境沿いに既にあるフェンスの効果は?

2017.02.18 Sat posted at 17:02 JST

(CNN) 米政府監査院(GAO)は18日までに、メキシコ国境沿いに不法移民対策などで既に築かれているフェンスに触れ、2010年からのほぼ6年の間に9200回以上にわたって破られる違法行為が起きていたとの報告書を公表した。

このフェンスの長さは654マイル(約1053キロ)。米税関・国境警備局(CBP)の記録などを材料にした同報告書はフェンスの効果はないと結論付けなかった。ただ、同局は不法侵入を減速させるフェンスの効果的な運用を図る方途を講じなかったと指摘した。

これに対しCBP当局者はフェンスを生かす手段は13年に資金不足に直面して中止に追い込まれたと説明したという。その上でGAO報告書の勧告内容を実施したいとも述べた。

米国土安全保障省は報告書の内容を認め、フェンスの貢献度の評価方法を見い出したいとの方針を示した。

GAOが聴取した国境警備隊当局者は、フェンスは不法侵入の試みを都市圏から摘発しやすい地方部へ追いやる効果はあったものの、密航者らはフェンスを単純に切断する他、乗り越えたりフェンス下に潜り込んだりする手口を見付けていると述べた。

不法侵入を防ぐためのフェンスは1000キロ以上設置されている

トランプ大統領は選挙戦で、メキシコ国境沿いの「壁」建設を公約の1つにしていた。国土安全保障省は現在、壁構築もしくはフェンス増設に関連する様々な選択肢を検討している。同省のケリー長官がトランプ氏に取り得る方途を示し、政権が議会に提示する見通しとなっている。

この中でCNNは16日、同省はコンクリート製の壁建設よりフェンス増設の案を提案する方向だと報じていた。国土安全保障省内の検討作業の経緯に詳しい消息筋の情報に基づいていた。

GAOが今回の報告書を16日に公表する前、同省の捜査部門幹部らは連邦議会での公聴会で、米国南西部の国境地帯で麻薬密輸組織の脅威が続いていることや侵入を図る巧妙な手口について証言。空気やガスの圧力を使った射出装置を使ったり、傾斜路や昇降装置を利用して車両ごとフェンスを越えたりして薬物を米国内に密輸させていると説明した。

国境沿いの壁はフェンス仕様に?

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