中国、トランプ氏の名前の商標権を承認 政治的配慮?

中国の建設業界で「トランプ」の商標権が認められた

2017.02.18 Sat posted at 16:07 JST

香港(CNNMoney) 中国政府が、トランプ米大統領やその中核企業が10年以上にわたって申請していた中国の建設業界における「トランプ」の商標権を承認し、正式の登録作業が最近終わったことが18日までにわかった。

長年頓挫していた申請がここに来て認められ、登録へ進んだことについて、トランプ氏の大統領就任を受けた政治的思惑が背景にあるとの指摘が出ている。また、同氏の利益相反問題と絡める見方もある。

中国の商標権審査当局は昨年9月、「トランプ」の商標登録を同じく要請していた競争相手の言い分を退ける判断を示した。大統領選が終了した11月には、商標権をトランプ氏の中核企業「トランプ・オーガナイゼーション」に与えていた。最近の登録作業の終了は3カ月の異議申し立て期間が終わったことに伴う。

中国側の今回の対応について、オバマ前政権のホワイトハウスで倫理問題を担当した元高官は「トランプ氏からの譲歩を期待している」と推測。同氏に影響力を及ぼそうとする最初の努力に見えるとも述べた。

元高官は、米連邦政府当局者が事業を通じて外国から報酬を得ることを禁じる米憲法規定に違反しているとしてトランプ氏を提訴したグループの一員となっている。

中国の法律専門家も、商標権登録の迅速な認可とトランプ氏が政治の表舞台に急浮上したこととの関連性に言及。「承認決定で印象深いのはそのタイミング」とし、政治が絡んでいると想定するのが合理的と語った。

トランプ氏は選挙戦中、強硬な対中政策を再三主張していた

一方、ワシントンの中国大使館はCNNの取材に、トランプ氏の商標権の問題は中国の商標関連法に準じて処理されたと述べた。ホワイトハウスはコメントを拒絶し、トランプ・オーガナイゼーション社への照会を促した。

トランプ氏は選挙戦中、強硬な対中政策を再三主張。就任直後には中国を為替操作国と切り捨て、輸入される中国製品への高率の課税も示唆していた。ただ、その後は中国への強気の姿勢は前面に出ていない。

これに対しトランプ・オーガナイゼーション社の法務担当責任者は、10年以上に及んで中国での商標権獲得を活発に実施しており、今回の措置はこれまでの働き掛けの自然な反映と主張。これら努力の一部はトランプ氏が大統領選への出馬を宣言する前から始めているとも強調した。また、商標権獲得でトランプ氏が対中政策で姿勢が軟化する可能性があるとの非難は全く根拠がなく事実無視に過ぎないと述べた。トランプ氏の弁護士は先週、同氏のブランド名は同社の資産価値に欠くことができないものとも説明していた。

建設業界での商標権獲得がどれほどの経済的効果を持つのかの評価は難しい。トランプ氏の中心的事業は不動産や娯楽関連となっている。トランプ氏は中国で数十件の商標登録を既に済ませ、別の数十件が申請中となっている。

実業家と大統領職との間の利益相反問題は大統領就任前から論議され、トランプ氏はその懸念を明瞭に解消させるような措置にも消極姿勢を示してきた。手掛けていた事業の経営権は息子に全面的に任せる意向を表明していた。

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