ロシアが巡航ミサイル配備、米は「条約違反」と認識

ロシアの情報収集艦がデラウェア州沖の公海上を航行している

2017.02.15 Wed posted at 10:08 JST

ワシントン(CNN) 米国防当局幹部は14日、ロシアが巡航ミサイルを配備したと述べ、これは1987年に米ロが調印した中距離核戦力全廃(INF)条約に違反する公算が大きいとの見方を示した。

ロシアは米デラウェア州沖の公海上でも偵察艇を航行させ、黒海では米海軍艦に接近する飛行を行っていたことから、米当局者は警戒を強めている。今回の巡航ミサイル配備との関連には言及しなかった。

国務省のトナー報道官代理は14日、具体的な事例には触れなかったものの、ロシアの条約違反について「射程500~5500キロの地上発射巡航ミサイルの保有・生産・飛行実験、あるいはそうしたミサイル発射装置の保有や生産を禁止じた条約に対し、ロシアが違反を続けている」との声明を発表した。

ロシアは2014年にそうしたミサイルの実験を行ったと見られている。トナー報道官は、「我々はロシアの条約違反とそれが欧州やアジアの安全保障に投げかけるリスクについて懸念を表明し、ロシアに再び同条約を守らせることに強い関心を示してきた」と付け加えた。

米国防当局幹部によれば、10日には黒海を航行していた米海軍艦の駆逐艦「USSポーター」が3度にわたってロシア機に接近された。ロシア機は海上約300メートルの上空でポーターからおよそ約900メートルの距離まで接近したとされ、米当局者は危険な飛行だったと位置付ける。ただしポーターの甲板上は横切らなかったという。

ロシア国営メディアによると、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は14日、「2月10日に黒海でUSSポーターの横をロシア軍機が飛行したことに関して異常はなかった」と語った。

一方、米国防当局者はCNNに対し、ロシアの情報収集艦「SSV175ビクトル・レオノフ」がデラウェア州沖の公海上を航行していると語った。同艦は各種のハイテク偵察装置を装備し、情報信号の傍受もできる。

レオノフは2014年にもフロリダ州沖を航行し、15年にも航行していた。

ロシアの巡航ミサイルは、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国を脅かす恐れもある。米国のマティス国防長官は15日にNATO本部で行われる国防相会議に出席予定。

NATO当局者はCNNに対し、「INF条約は今も我々の安全保障の根幹であり、ロシアによる抵触はこの同盟にとっての深刻な懸念になる」と話している。

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