北朝鮮のミサイル発射、性能の進化を示唆 固体燃料使用も

発射の様子を見守る金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長

2017.02.14 Tue posted at 12:35 JST

(CNN) 米国防総省は北朝鮮が12日に発射したミサイル「北極星2」について、従来のミサイルにはなかった性能が加わったとの見方を示している。複数の米当局者が13日、CNNに語った。

米当局者2人が語ったところによると、北朝鮮はこれまでの実験で潜水艦から中距離弾道ミサイルを発射していたが、初めて地上からの発射に成功した。西岸から発射されたミサイルは、約500キロ飛行して日本海に落下した。

米海軍のデービス大佐は13日の会見で、「過去に潜水艦から発射されたミサイルの地上配備版だ」と指摘した。

北朝鮮は昨年8月、潜水艦発射型の「北極星1」を発射していた。

北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)は、核弾頭の塔載が可能な地対地中距離弾道ミサイルだったと伝えたが、専門家らは核塔載の実現はまだ遠いとの見方を示している。

北極星2にはゼリー状の固体燃料が使われたことも注目される。固体燃料はタンクを腐食させにくく、貯蔵しておける期間が液体燃料より長いのが特徴だ。

液体燃料は発射直前にタンクへ注入する必要があり、周辺でのトラックの動きなどから発射準備を察知できた。固体燃料では発射に必要な設備も大幅に縮小されるため、米国や韓国の衛星画像から予想を立てることが難しくなるという。

「北極星2」の発射に使われた撃ち上げシステム

北極星2の射程を断定することは難しい。ただ、英軍事情報誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーのカール・デューイ氏は今回の500キロという飛行距離について、「技術上の限界ではなく、事態がエスカレートしない程度に日本を挑発し、米国の新政権を試すポーズを狙った政治的判断だった」との見方を示した。同氏によれば、ミサイルの飛行距離は発射角度を低くしたり、燃料効率を向上させたりすれば延長できる。

さらに韓国軍合同参謀本部の報道官がCNNに語ったところによると、北極星2の打ち上げではまず圧縮ガスで発射した後、空中でエンジンに点火する「コールド・ローンチ」という方式が採用された。

英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツジェラルド氏はブログへの投稿で、米国の大統領選から政権移行期にかけてしばらく沈黙を守っていた北朝鮮がミサイル開発の動きを再開したと指摘。

このペースで実験が繰り返された場合、北朝鮮はトランプ米大統領の任期4年間のうちに核搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発する可能性があるとの見通しを示した。

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