米加州でダム決壊の恐れ、住民18万人超が避難継続

決壊の危険が発覚した米加州のダム。当局は住民への避難指示を継続している

2017.02.14 Tue posted at 11:21 JST

米カリフォルニア州オーロビル(CNN) 米カリフォルニア州北部にあるオーロビル・ダムの放水路が浸食によって損傷し、決壊の危険が高まったことから、下流の住民約18万8000人が避難した。状況はやや改善したものの、13日現在も避難指示は解除されていない。

避難指示は緊急用の放水路に巨大な陥没穴が見つかったことから12日に発令された。中には避難するまでにわずか数分の猶予しかなく、身の回り品だけかき集めて緊急避難した住民もいた。オーロビルに住むマギー・キャブレルさんは12日、CNN系列局KFSNの取材に対し、「誰もが駆け回っていた。大混乱だった」「通りはたちまち車であふれ、近所の人たちは持てるだけの物を持って自宅から飛び出し避難した」と話している。

カリフォルニア州では長期間にわたって干ばつが続いていたが、今年に入って豪雨と降雪に見舞われた。オーロビル湖を源流とするフェザー川には大量の雨水が注ぎ込み、シエラネバダ山脈から流れ込む水でオーロビル湖の水位も上昇していた。

カリフォルニア州水資源局によると、同ダムは米国一の高さをもつ。2つある放水路のうち、緊急用の放水路は、ダムが完成してからの48年間、1度も使われたことがなかったという。

同ダムではこれまでメーン放水路からオーロビル湖の水を放水して、この地域の洪水を防いでいた。しかしメーン放水路は浸食によって深さ12メートル以上ある巨大な陥没穴が開き、すぐには補修できない状態になった。

11日には湖の水位が容量の901フィート(約275メートル)を超えたため、最後の手段として緊急用の放水路を初めて使用した。

ダム完成後の48年間で、緊急用の放水路が使用されたのは今回が初めてだという

ところが現地時間の12日午後3時ごろ、緊急用放水路でも浸食が起きていることが分かった。州消防局は、地面の浸食が始まれば土砂などが崩れ落ちて非常に危険な状態になると指摘。「適切に対応しなければ、高さ約9メートルの水の壁に見舞われる」と危機感を募らせた。

カリフォルニア州のブラウン知事は非常事態を宣言。12日午後に周辺の自治体が住民に緊急避難を呼びかけた時点では、放水路がいつ決壊してもおかしくない状況だったという。

ダムの120キロ下流にあるサクラメント市でも、放水路が決壊すれば鉄砲水に襲われる可能性もあるとして、消防局が住民に警戒を促している。

各地で商店は休業し、避難所が開設され、警察は道路を封鎖。道路は低い土地から脱出しようとする住民で交通渋滞が発生し、途中にあるガソリンスタンドの多くは13日までにガソリンが売り切れた。

現在、緊急用放水路からの放水は止まり、13日午前8時現在、オーロビル湖の水位は上限より1.2メートルほど低い約273メートルに低下した。その後も毎時10センチのペースで低下を続けているという。

15日には降雨が予想されることから、当局はそれまでに水位を約15メートル低下させることを目指している。

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