入国禁止の大統領令、差し止めをめぐる訴訟で口頭弁論

サンフランシスコの連邦高裁で、大統領令差し止めをめぐる訴訟の口頭弁論が行われた

2017.02.08 Wed posted at 16:07 JST

(CNN) トランプ米大統領がイスラム圏7カ国からの渡航者らの入国を禁止した大統領令に対し、ワシントン州などが差し止めを求めた問題をめぐる訴訟で、サンフランシスコの連邦高裁は7日夜、電話による口頭弁論を開き、連邦政府側と州側の意見を聞いた。

大統領令はワシントン州の連邦地裁が差し止めを命じたことを受け、全米で執行が停止されている。

口頭弁論では連邦高裁の判事3人からの質問に対し、連邦政府を代表する司法省のフレンティエ特別顧問と、大統領令の無効を主張しているワシントン、ミネソタ両州を代表するパーセル・ワシントン州訟務長官がそれぞれの主張を述べた。

フレンティエ氏は冒頭で、連邦地裁が国家安全保障の領域に踏み込み、大統領の判断に反する命令を出したのは不適切だったと主張した。

これに対して判事が「政府には入国禁止の対象7カ国とテロの関連を示す証拠があるのか」と質問した。フレンティエ氏がリスクに基づく大統領の判断だと述べると、判事は「この件に関する大統領の判断については法廷で審理できないと主張しているのか」と問い返した。フレンティエ氏はしばらく言葉に詰まった後、ようやく「そうだ」と答えた。

大統領令がイスラム教徒全員の入国拒否を念頭に置いたものかどうかが議論の争点に

また別の判事は、大統領がイスラム教徒全員の入国を拒否することも可能だというのかと追及し、フレンティエ氏が「そういう命令ではない」と繰り返す場面もあった。

パーセル氏は、大統領が入国禁止令を出した動機にはイスラム教徒に対する敵意があったと主張した。また、大統領令によって州内の住民や州政府の税収に損害が及ぶことは確かだと述べた。

フレンティエ氏は、米国に足を踏み入れたことのない外国人には合衆国憲法が適用されず、入国の権利は認められないとの主張も展開。連邦高裁がたとえ差し止め命令の効力を認めるとしても、その対象は過去に入国しているグループに限定するべきだと述べた。

これに対してパーセル氏は、特定の宗教の信者を差別することは憲法上の政教分離の原則に反すると反論した。

サンフランシスコの連邦高裁は全米でもリベラル色が濃いことで知られている。高裁の判断は今週中にも出る見通しだ。

大統領令差し止めの訴訟で口頭弁論

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