宇宙長期滞在で細胞の老化に変化?、双子飛行士で比較研究

双子の宇宙飛行士を対象とした研究が行われた

2017.02.05 Sun posted at 15:55 JST

(CNN) 国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在した米飛行士の心身に関する詳細なデータを、地球上にいた一卵性双生児の兄弟を比較するなどして分析した初期結果が5日までに報告された。細胞の老化にかかわる染色体末端部の減り方に変化がみられたという。

米航空宇宙局(NASA)のスコット・ケリー飛行士とロシアのミハイル・コルニエンコ飛行士は2015年から16年にかけて1年間、ISSに滞在した。それまでの飛行士の滞在期間は6カ月が通例となっていた。

NASAでは現在、10組の研究チームが両飛行士とケリー飛行士の双子の兄弟、マーク・ケリー氏の免疫反応や骨の状態、腸内環境などのデータを比較、分析している。先ごろ開かれた年次報告会で、各チームがこれまでの成果を発表した。

スコット氏とマーク氏の白血球細胞を採取して染色体の末端にある「テロメア」という部分を調べたチームによると、スコット氏は宇宙滞在中にこの部分が長くなっていたことが判明した。テロメアは普通、細胞が老化するにしたがって少しずつ短くなることが知られている。スコット氏の場合も、地球に帰還した後はテロメアがまた短縮していた。

試験に取り組むケリー飛行士

研究者らはこの現象について、ISS滞在中の適度な運動や摂取カロリーの減少が影響したとの見方を示している。

このほか、スコット氏の骨の量はISS滞在中に減少したものの、骨や筋肉の状態を改善するホルモンの分泌量は増えていたことが分かった。これも飛行士が日々取り組む運動の成果と考えられる。

スコット氏の腸内では、ISS滞在中と地球上にいる時とで優位な細菌の種類が入れ替わっていたことも明らかになった。

NASAによると、全体としては今のところ、宇宙に1年間滞在した場合と半年間の滞在を比べても、ストレスの大きさに目立った変化はないと考えられる。長期滞在の影響については今後さらに詳しい研究を進める予定だが、残念ながら双子の飛行士が現れる見通しはないという。

宇宙での「影響」は? 双子で研究

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