リオデジャネイロ(CNN) ブラジル・リオデジャネイロのマラカナン・スタジアムと言えば、1950年と2014年のサッカーワールドカップ(W杯)決勝戦が行われたサッカーファンにとっての「聖地」。昨年のリオ五輪で開会式と閉会式の舞台となったことでも知られる。ところが五輪閉幕から半年、スタジアムに人気はなく、すっかり荒れ果てている。
スタジアムの管理をめぐり、五輪組織委員会とリオデジャネイロ州、そして民間企業のマラカナン社の間で対立が起きているからだ。
サッカーファンの声援も聞かれなければ、スタジアムの見学ツアーも中止された。最近では高価な設備や貴重な記念物が盗まれるという事件が起きた。
緑の芝生は虫の被害に遭って茶色く枯れ、窓は割れ、扉は打ち壊され、7万8000の座席の1割近くも消えてしまっている。
1月下旬には、料金未払いが原因でスタジアムへの電気の供給も止められた。電力会社によれば、未払い総額は300万レアル(約1億800万円)近いという。
マラカナン社の見解は、州と組織委員会が昨年3月に交わした契約を破ったというものだ。契約条件の中に、スタジアムの返還はなかったと同社は主張する。
だが組織委員会は、スタジアム荒廃の責任は自分たちにはないとの立場だ。
組織委員会の広報担当はCNNの系列局TVレコルドにこう述べている。「修理は確かに必要だ。それが組織委の義務であることも、少し遅れていることも承知している。だがこうした問題でスタジアムの機能が失われてはならない」
スタジアムの「レガシー」が今後どうなるかは不透明だ。
五輪の水泳やゴルフの試合が行われた会場も閉鎖の憂き目に遭っている。背景にはやはり、保守管理をめぐる自治体と民間企業の間での意見の対立がある。