汚職免罪の新法に抗議デモ、衝突で5人負傷 ルーマニア

デモ隊と警察が衝突する場面も=ルーマニア首都ブカレスト

2017.02.02 Thu posted at 17:39 JST

(CNN) ルーマニアの首都ブカレストで1日夜、同国政府が損害規模が一定内にある汚職行為を罰しない法案を緊急成立させたことに抗議するデモが発生し、警官隊と衝突、5人が負傷した。

抗議活動は全国にも広がり、ティミショアラ、クルージュナポカやヤシなど50都市でも報告された。

政府の法案は先月31日夜に成立し、4万8000米ドル(約542万円)以下の損害にとどまる汚職行為なら刑事罰に問わないという内容。今後10日内に発効の見通し。この規定を満たせば現在進める汚職捜査も中止し、関連捜査の新たな着手もなくなる。

また、投獄中の一部の政府当局者も釈放される見通し。最近の総選挙で政権を握った社会民主党(PSD)のリビウ・ドラグネア党首は現在、権力乱用の捜査対象となっている。今回の新法で同党首と他の要職にある政治家が恩恵を受けるともみなされている。

新法は、ソリン・グリンデアヌ首相が成立させたもので、同国議会の採決は不要となっている。

デモの大部分は平和的に行われた

ブカレストの「勝利の広場」で1日夜起きた衝突ではデモ参加者3人と治安要員2人が負傷。デモ現場で撮影されたビデオ映像は、バリケード越しにデモ隊とにらみあう複数の警官がデモ隊に催涙スプレーを向ける様子などを映し出した。

これに対し少数のデモ参加者が発火物などを警官隊に投げ、大きなごみ箱のごみを路上にまき散らすなどして抵抗した。小規模の火災も発生した。

大半のデモ隊は2日に入ると内閣府が入るビル近くの同広場から去ったが、同日も抗議活動も続けるとしている。

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のユンケル委員長は新法に対する懸念を表明。「汚職との戦いは放置するのではなく、前進させる必要がある。大きな懸念を持ってルーマニアの最新の情勢を見守る」と述べた。

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