(CNN) 第2次世界大戦中のナチス・ドイツでゲッペルス宣伝相の秘書を務めた女性、ブルンヒルデ・ポムゼルさんがこのほど死去した。106歳だった。
ポムゼルさんは昨年、ドキュメンタリー映画の中で初めてナチスでの日々を振り返り、自分に罪があるとは思わないと述べていた。「ナチスに権力を握らせたからといってドイツの国民全体を責めるなら別。それは私を含めた全員のことだ」とも語った。
ポムゼルさんはまた、現代の人々が当時を振り返り、ドイツ市民はナチスの犯罪を止める努力をするべきだったと批判する風潮に異議を唱えた。
自分なら当時迫害されていたユダヤ人にもっと手を貸しただろうと主張する声に対し、「心から言っているとは思うが、実際にはできなかったはず。当時は国全体がある種のドームに覆われていた。私たち自身も全員、巨大な収容所の中にいた」と指摘した。
ポムゼルさんは1911年にベルリンで生まれた。33年にナチスに入党し、42年から3年間、ゲッペルス宣伝相の秘書を務めた。終戦と同時にソ連軍に拘束され、50年に釈放された後は独公共放送ARDで活躍した。
ドキュメンタリーの監督の1人は今月、ポムゼルさんの誕生日に本人と会った時の印象について「体はかなり衰えていたが、相変わらず国際政治に強い関心を持っていた」と述べた。ポムゼルさんは「極右主義の危険性について、自分の経験が現在から将来にかけての世代に対する警告となることを願っていた」という。
監督らは連名で出したコメントの中で、ポムゼルさんが当時の体験者にありがちなうわべだけの反省を口にすることはなかったと強調。「常に偽りのない、信頼できる人」だったと称賛した。