トランプ米大統領の入国禁止措置、欧州の同盟国からも非難の声

トランプ大統領の出した入国禁止令が波紋を呼んでいる

2017.01.31 Tue posted at 11:48 JST

(CNN) イスラム圏7カ国の市民の米国への入国を一時禁止したトランプ米大統領の大統領令に対し、世界各国の指導者や有力者が非難の声を上げている。

トランプ大統領が27日に署名した大統領令は、シリア、イラク、イラン、イエメン、リビア、ソマリア、スーダンの7カ国の市民の入国を90日間禁止し、難民の受け入れは120日間停止する内容。シリアの内戦を逃れた難民は無期限で入国できなくなった。

多くの国がこの措置を非難する中で、禁止対象となることを免れたイスラム教国は、パキスタンなどの例外を除き、ほとんどが沈黙を保っている。

欧州の同盟国も、相次いでトランプ大統領令を非難しているが、難民に対して強硬な姿勢を取るオーストラリアなど少数の国は、米国の入国禁止措置に支持を表明した。

英国のジョンソン外相は「分断を生じさせる誤った措置」と断言。ロンドンのカーン市長は「恥知らずで残酷」と形容した。

7カ国の国民について入国を一時禁止した

大統領令が出される直前にトランプ大統領と会談したメイ首相はツイッターへの投稿で、この措置には「同意しない」としたものの、移民政策は「米国政府の問題」だと位置付けている。

英国政府と議会に対し、トランプ大統領による英国公式訪問の中止を求める嘆願には30日午前までに100万を超す署名が集まった。

フランスのエロ―外相はツイッターに「テロリズムに国籍はない。差別は答えではない」と書き込んだ。

ドイツのメルケル首相は「テロリズムとの断固たる戦いにおいて、特定の信仰をもつ人たち、今回の場合はイスラム教を信仰する人たちを一律に疑うことは、どんなことがあっても正当化できない」と強調。「そうした行為は私の信念に照らして、国際的な難民支援や国際協力の中核的な理念に反する」と指摘した。

入国禁止の大統領令に抗議する人々

報道官によると、メルケル首相は28日、トランプ大統領に電話して、ジュネーブ条約で規定された米国の難民の受け入れ義務について説明したという。

トルコのシムシェキ副首相はツイッターで、「米国が受け入れない世界中の人材を喜んで歓迎する」と表明した。米国への入国禁止措置を免れたイスラム教国の中で、トルコのように公に発言している国は少数にとどまる。

オーストラリアのターンブル首相は「どんな国でも国境を越えた流入をコントロールできる必要がある」と述べ、入国禁止措置に一定の理解を示した。29日にはトランプ大統領と会談し、「国境警備の重要性と不法移民の脅威」について話し合った。

カナダのトルドー首相はトランプ大統領令には直接言及しないまま、難民受け入れの重要性を説き、「カナダは迫害やテロや戦争を逃れて来た人たちを歓迎する」とツイッターに投稿した。

パキスタンのイスラム教徒が多数を占めるパキスタンだが、入国禁止の対象となることは免れた。ニサル内相は「テロリズムで最も苦しんでいるのはイスラム教徒であり、彼らはこの惨劇に対して最も多くの犠牲を強いられている」と述べ、禁止措置を非難した。

サウジアラビアは禁止措置の対象外となった。サウジ航空は声明を出し、禁止対象の7カ国の市民は、外国ビザの保有者などを除いて搭乗できないと説明した。

米国の入国禁止令、国際社会から批判も

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