トランプ氏、シリア難民入国禁止の大統領令 「イスラム過激派」排除へ

トランプ米大統領(中央)が難民の流入を制限する大統領令に署名

2017.01.28 Sat posted at 11:29 JST

(CNN) トランプ米大統領は27日、シリア難民の入国の無期限停止など米国への難民流入を制限する大統領令に署名した。国境管理を強化し一部の難民の入国を停止するとの公約実現に向けた一歩とみられる。

トランプ氏は大統領令「外国人テロリストの米国入国からの国家保護」のなかで、「シリア国民の難民としての入国は米国の国益に有害だと宣言し、入国を停止する」と述べた。

大統領令はテロの温床となっている国の出身者全員の入国を30日間禁止する。また、難民受け入れプログラムも120日間停止し、トランプ政権の閣僚が適切に審査可能と判断した国の出身者に限って再開する。

27日夜の時点で、ホワイトハウスはテロの温床国家のリストを示していない。2017会計年度に米国に受け入れる難民の総数は、現在の11万人の半分以下の5万人が上限となる見通し。

トランプ氏は国防総省で行われた署名の際に「イスラム過激派のテロリストを米国に入国させないための新たな審査方法を策定中だ」と言及。「彼らを入国させたくない」「米国を支持し米国民を深く愛する人だけを入国させたい」などと述べた。

ホワイトハウスはまだテロの温床国家のリストを示していない

大統領令ではまた、難民申請者が「各国で少数宗派」に属する場合、宗教的な迫害を訴える難民の主張を優先的に取り扱ってもいいとする裁量を国土安全保障省に与えた。これにより、イスラム教徒が多数派の国から来たキリスト教徒や少数宗派の人々は、イスラム教徒よりも容易に入国できることが予想される。

トランプ氏は署名前に収録されたキリスト教系メディアとのインタビューで、迫害されているキリスト教徒を「助ける」と強調。「彼らの扱いはひどい。シリアのキリスト教徒が米国に入国することは不可能か、または非常に困難だ。イスラム教徒なら入れるかもしれない」「皆の首がはねられているが、キリスト教徒はさらにそうだ。非常にアンフェアだと思う」との認識を示した。

民主党員らはトランプ氏の今回の動きを批判。全イスラム教徒の入国を禁じるものではない可能性もあるとはいえ、それでも差別的だと主張した。民主党のシューマー上院院内総務は「米国建国時から存在してきた移民歓迎の偉大な伝統が踏みにじられ、自由の女神の頬には涙が伝っている」と述べた。

トランプ氏は同日、軍事支出を増大させ「米軍の偉大な再建を開始する」大統領令にも署名。マティス国防長官に対し、新型の航空機や艦船などの開発計画策定を開始するよう指示した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。