ヒトの細胞もつブタ胎児の作成に成功、臓器作り見据えた研究

ヒトの幹細胞が注入されたブタの胚=ソーク研究所

2017.01.27 Fri posted at 17:58 JST

(CNN) 米ソーク研究所などの研究チームは26日、幹細胞技術を使ってヒトの細胞や組織をブタの胎児の中で作ることに成功したと、科学誌「セル」で発表した。

もっとも、ヒトの臓器を他の動物の体内で作って再生医療につなげる日は当分先だと、論文の主著者であるソーク研究所のジュン・ウー研究員は言う。

「それぞれの種は別々に進化しており、発達プログラムを規定する要素は数多い。つまりある種の動物の細胞を他の種の発育中の受精卵に混ぜることは困難だ」とウー研究員は言う。

この研究プロジェクトは、臓器の細胞を別種の動物の体内で育てることが可能であることを証明するために始まった。チームはまず、ラットとマウスという近縁種で実験を行った。

まず、膵臓(すいぞう)のないマウスの胎児を作り、その体内にラットの幹細胞を注入した。同様の実験は、スタンフォード大学の中内啓光教授らがすでに成功させている。

実験にはスペインのブタが使用された=ソーク研究所

幹細胞はマウスの体内でラットのすい臓へと育ち、マウスは健康に本来の寿命をまっとうした。さらに研究チームは、同じ方法でラットの目と心臓をマウスの受精卵に移植する実験も行った。

次に研究チームは、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成し、それをブタの受精卵に注入する実験に着手した。ブタが使われたのは、臓器の大きさや発育に要する時間が人間と近いからだ。

受精卵はブタの体内に移植されたが、安全性への配慮から、実験は4週間で終了となった。

ブタの胎児の中のヒトの細胞を調べたところ、一部は分化を始めて前駆細胞に変わっていたという。だが成功率は、ラットとマウスの実験に比べてずっと低かった。

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