トランプ氏、「国境の壁」建設へ 大統領令に署名の意向

トランプ米大統領が移民関連の大統領令に署名する

2017.01.25 Wed posted at 17:54 JST

ワシントン(CNN) トランプ米大統領は25日、メキシコ国境での壁の建設などに向けた大統領令に署名する。ホワイトハウスの当局者がCNNに確認した。また26日以降にも引き続き、難民やビザ(査証)に関する大統領令を予定しているという。

トランプ氏の日程に詳しい人物の話によると、同氏は25日午後(日本時間26日未明)、訪問先の国土安全保障省(DHS)で2件の大統領令を発表する。

トランプ氏自身も24日、ツイッターで「明日は国家安全保障で大きな予定がある。たくさんある案件のひとつとして、我々は壁を建てる!」と宣言した。

大統領令のうち1件は、DHSにメキシコ国境の壁建設を開始し、既存のフェンスを補修するよう指示する内容。税関・国境警備局(CBP)のスタッフを5000人増員する措置も含まれる。

またDHSに対し、現在メキシコに提供している支援金の明細を公表するよう求める。この中から壁の建設費用を出すためとみられる。トランプ氏は選挙戦で、建設費用をメキシコ側に負担させると約束していた。

2件目の大統領令は、不法移民を保護する「聖域都市」を排除し、移民・税関執行局(ICE)の要員を3倍に増やし、連邦当局に外国人犯罪者の特定を命じる内容だ。

トランプ氏は選挙戦を通じ、メキシコ国境における壁の建設の必要性を訴えてきた

26日以降に向けて準備が進んでいる大統領令には、難民の受け入れを4カ月間完全に停止し、出身国ごとの危険性を見極めるという措置や、シリア難民の受け入れ事業を無期限で打ち切る措置などが含まれている。

また、親族の名誉を守るためとして女性を殺害する「名誉殺人」や女性への暴力に関与した移民は受け入れないこと、今年1年間に受け入れる難民を5万人までと制限することが明記される。

シリアの避難民については、米国務省と国防総省に対し、シリア国内に安全地帯を設けるよう指示する。オバマ前政権は、安全地帯を設定しても住民の苦痛は軽減されないとの立場を示していた。

トランプ氏は選挙前、「イスラム教徒の入国を全面的に禁止する」「不法移民は全員強制送還する」などの強硬発言で注目を集めた。実際には「テロが蔓延(まんえん)する国からの移民は受け入れない」「犯罪歴のある不法移民の追放が優先」と、態度を一部軟化させている。

だがこうした大統領令に対しては、「米国はより安全な国になるどころか、さらに恐怖におびえた排他的な国になる。それは建国の精神に反する」(米イスラム関係評議会フロリダ支部事務局長)、「トランプ氏は選挙戦で打ち出した最も恥ずべき、差別的な公約を実行に移そうとしている」(全米イラン系米国人評議会)など、強い反発の声が上がっている。

「国境の壁」建設へ大統領令

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。