ワシントン（ＣＮＮ） 米当局者は２３日、英国が昨年６月に米フロリダ州沖で核抑止システム「トライデント」のミサイル実験を行い、失敗に終わっていたことを確認した。
事情を知る米当局者がＣＮＮに語ったところによると、実験は米国と英国がミサイル実験に使っているフロリダ沿岸沖で行われた。核弾頭は搭載していなかったという。
英紙サンデー・タイムズは、ミサイルが軌道をそれて米沿岸部の方向へ飛んだと報じていた。これについて米当局者は、ミサイルの電気系統で異常が検出されたため、自己破壊措置の一環として自動的に軌道を外れて海上に落下したと話している。
この実験の１カ月後、英議会は４００億ポンドを投じてトライデントを更新する計画を承認。失敗の事実が公表されないまま行われた下院の採決では４７２対１１７の賛成多数で可決されていた。
英国のメイ首相は２２日、ＢＢＣのインタビューの中で４回にわたってミサイル実験の失敗について質問されたが、答えを拒んでいた。
１９８９年の試験時に米海軍が打ち上げた「トライデント」ミサイル
ファロン英国防相は２３日、下院でトライデントについて説明を求められ、「絶対的な確信」があると強調したが、実験に関する「作戦の詳細」については明らかにしなかった。
英政府がミサイル実験の失敗について公表を拒んでいることに対し、英国の核抑止に反対する立場からは批判が噴出している。スコットランド自治政府のスタージョン首相はツイッターへの投稿で、「これはとてつもなく重大な問題だ。事実関係や、誰がいつ、何を知っていたのか、そして下院に知らされなかった理由を全面的に開示する必要がある」と指摘した。
メイ首相の報道官は２３日、トライデントの実験について首相は就任時に説明を受けていたと述べ、「これは『デモンストレーションと調整』の実験と位置付けられていた。実験は（２０１６年）６月に（キャメロン）前首相の下で行われ、（メイ）現首相は就任時にこれを含む幅広い核問題について説明を受けた。この実験では潜水艦と乗員が実験に成功したと認定された」と話している。
英、ミサイル実験に失敗