フェイスブックなどSNS、視野狭め偽情報拡散の一因にも 研究論文

フェイスブックのユーザーの動向から偽情報拡散のメカニズムを分析

2017.01.23 Mon posted at 13:46 JST

(CNN) フェイスブックなどのソーシャルメディア(SNS)はユーザーの世界を広げるどころかむしろ視野を狭めさせ、特定の先入観の形成を促し、それが誤った情報の拡散につながる――。イタリアや米国の研究チームがそんな論文を米科学アカデミー紀要に発表した。

研究チームはデータモデリングの手法を使って、陰謀説と科学情報の2種類のコンテンツが拡散する様子を描き出した。

その結果、「ユーザーは特定の論調に関連したコンテンツを選んで共有し、それ以外は無視する傾向があることが分かった。特に、社会的均一性が情報を拡散させる原動力になっていることが示されており、ありがちな結果として、均一的で偏向した集団が形成される」。論文はそう結論付けている。

言い換えれば、たとえ根拠のない内容だったとしても自分や友達がそれを共有するのは、その集団の中では皆が同じような思考を持ち、やり取りされる概念は決まり切っていて、新しい概念や疑問をはさむような概念が入り込む余地はないためだ。

論文共著者で南カリフォルニア大学の研究者アレッサンドロ・ベッシ氏はこの研究について、誤った情報がインターネット拡散する様子とその理由を探ることにあったと説明する。

科学情報と陰謀説のような話題について同氏は「ユーザーは既に出来上がっている信念を裏付ける情報を検索し、解釈し、思い起こす傾向がある」と述べ、「確証バイアス」と呼ばれるその現象が、コンテンツ共有の主な原動力になっていると解説している。

既存の概念の再確認を目的とした情報の共有は、偽ニュース拡散のリスクをはらむ

つまりソーシャルメディアのユーザーは、異論をはさんだり情報を提供したりするためではなく、自分が所属するグループの中で既に受け入れられている概念を再確認したり同意したりする目的で情報を共有している公算が大きい。従って、「偽ニュース」と呼ばれるデマも事実関係が確認されないまま広まってしまいかねない。

「実際に、陰謀説のような情報は、普段から代替情報源を支持していて公式発表や大手報道機関のニュースを信じないユーザーの集団の内輪のみで広まって反響する」とベッシ氏は言う。

たとえ自分は偽情報には惑わされず、開かれた姿勢を持っていると思っていても、誰もがある程度は確証バイアスの影響を受けるという。

「私たちは自分の考え方を裏付ける内容を見ると、それを気に入って共有したいと思う。私たちの認知資源や注意力、時間は限られている」(ベッシ氏)

それが内容を十分に確認しないまま軽い気持ちで共有する行動につながるといい、「例えば自分が信頼していて考え方も近い友達が投稿したというだけで、自分もその内容を投稿するかもしれない」。

将来的には誤った情報を締め出すためのプログラムやアルゴリズムが登場するかもしれないとベッシ氏は話す。しかし当面は、共有する前に自分で事実関係を確認し、自己分析を行う必要があると助言している。

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