(CNN) ブラジル・リオデジャネイロ州の消防当局者は21日までに、同州パラチ町近くの沖合に小型飛行機が墜落し、搭乗していた最高裁判所判事ら計3人が死亡し、遺体が収容されたと発表した。
死亡した判事はテオリ・サバスキ氏(68)で、同国政界を揺るがし続けている国営石油公社ペトロブラスなどの大企業が絡む大型汚職事件の捜査を仕切っていた。公正中立との評価があった同氏の死去で、関連捜査の今後の進め方に支障が出るとの懸念も生まれている。
同判事搭乗の小型機は現地時間の19日午後1時ごろ、サンパウロの空港を離陸。1時間もたたないうちに墜落したという。ブラジル空軍によると、墜落機は同国ホテル産業の大立者が所有している。
サバスキ判事の子息がフェイスブック上で父親の死去を確認した。墜落原因は伝えられていない。他の2遺体の身元はわかっていない。
最高裁の内規によると、判事が死去した場合、進行中の捜査は後任判事に委ねられる。一方で最高裁裁判長が特別な事態に限り捜査継続を現職の判事に命じることが可能との別の内規もあるという。
後任判事の就任についてはテメル大統領が指名し、同国上院の憲法司法委員会が人物審査などを行い、上院の全会一致での承認が必要となっている。
サバスキ氏は2012年、ルセフ前大統領によって最高裁判事に指名されていた。政界を襲っている大型汚職事件では多数の政治家らの関与が疑われ、ルラ元大統領も訴追されている。元大統領のまな弟子とされたルセフ氏も国家予算の粉飾疑惑に絡む弾劾(だんがい)裁判で罷免されていた。