(CNN) 米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35」の岩国基地への配備が始まった。F35は米史上最も高価な兵器システムとして議論を呼ぶ一方で、アジア太平洋地域における米国防戦略の要と位置付けられている。
F35が米本土以外で配備されるのは日本が初めて。岩国配備が予定される全16機のうち、一部は9日にアリゾナ州を出発した。
F35にはA、B、Cの3つの型があり、Aは空軍、Bは海兵隊、Cは海軍に導入される。岩国に配備されるB型は垂直離着陸の能力があり、小型の空母などからも発進できるのが特徴だ。
海兵隊は日本への配備について、オバマ政権が進めてきたアジアへの軸足移動政策の一環だと説明。現時点の具体的な情勢に直接関係はないとの立場を示した。
しかし専門家からは、米国がアジアで現在敵対する勢力、あるいは潜在的な敵に対する意思表示とみる声も上がっている。
米太平洋軍の元幹部でハワイ太平洋大学教授のカール・シュスター氏はCNNへのメールで、F35Bを日本に配備することは北朝鮮や中国へのシグナルになると指摘した。
ベルリン自由大学で日本の安全保障を研究するコリー・ウォレス氏も「米国外の最初の配備先が欧州や中東、オーストラリアでなくアジアの日本であることには戦略上、象徴的な意味がある」「米政府と米軍が現時点で日米同盟に重点を置いていることを明確に示している」と話す。
日本の防衛省は、最新鋭の装備が導入されることが日米同盟の抑止力を強め、アジア太平洋地域の安定につながるとの認識を示している。
日中両国は尖閣諸島などの領有権問題で対立しているが、米国防当局者らはF35について、中国の最新鋭ステルス戦闘機「J20」とは「比較にならない」ほどの能力があると強調する。
トランプ次期大統領はF35計画に批判的な立場を示している。11日の記者会見でも、大幅なスケジュールの遅れや予算超過を改めて攻撃した。
一方で次期国防長官に指名されているマティス元中央軍司令官は先週、F35は米軍の優位性や同盟国との連携に不可欠だと強調し、計画への支持を表明した。
米史上最も高価な兵器、「F35」の全貌に迫る