米下院、オバマケア撤廃に向けた予算案を可決

上下両院を押さえた共和党がオバマケア撤廃に向けて進む

2017.01.14 Sat posted at 11:45 JST

ワシントン(CNN) 米下院は13日、医療保険制度改革(オバマケア)撤廃に向けた予算決議案を賛成227票、反対198票で可決した。

上院は今週、同予算案を可決していた。共和党は今後、上院での議事妨害を回避できる「予算調整」の制度を利用し、オバマケア撤廃に向けた動きを加速させるとみられる。ただ、オバマケアの代替案については党内でまだまとまっていない。

決議案に反対した共和党議員は9人のみ。民主党から決議案に賛成した議員は1人もいなかった。

共和党議員の一部は、オバマケアの代替に向けた明確な案が同党にはまだ無いとして懸念を表明。ペンシルベニア州選出の穏健派、チャーリー・デント議員は13日の決議により保険市場がさらなる混乱に陥る可能性もあると警鐘を鳴らした。

また、ニュージャージー州選出のトム・マッカーサー議員は、オバマケア撤廃に向けた動きは性急すぎるとの考えから反対票を投じたと明かした。ただ、共和党指導部の目標は理解しているとし、これに同意する姿勢を示した。

共和党のライアン下院議長は下院で行った演説で、同党が膨大な保険関連法を正すための「救援隊」を送り込むと強調。オバマケア成立時に「巨大な政府の実験」をやめるよう訴えたことに言及し、「この実験は失敗した。この法律は我々が審議している間にも崩壊しつつある。事態がさらに悪化する前に阻止しなければならない」と述べた。

オバマケアの成立でも予算調整制度が利用された

一方、民主党のペロシ下院院内総務は、医療保険加入者を見捨てようとしているとして共和党議員を批判。共和党議員はメディケア(高齢者向け公的医療保険)の給付金削減にも至る可能性があると主張した。

予算調整制度は、税額控除など予算関連の部分のみが対象となる。オバマケアのうち、子どもが26歳まで両親の保険の対象になるなど、予算と関連しない部分は対象とならない。

こうした非関連項目の撤廃審議では上院で議事妨害が予想され、それを打ち切るには60人の賛成票が必要となる。現在52議席の共和党は民主党側の協力も得る必要がある。

上下両院を押さえ、大統領選でも勝利した共和党だが、オバマケアの撤廃を巡って党内で時期や方法に関する議論が続いている。保守派の共和党議員の中は日程への懸念からこうした措置に慎重な姿勢を示しているほか、中道派議員は詳細な代替案が無いなかで同党が撤廃を進めている状況について懸念を示している。

米下院、オバマケア撤廃へ一歩

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