アリババ創業者の百万人雇用創出宣言、専門家から疑問の声

アリババの馬雲(ジャック・マー)会長(右)とトランプ次期大統領

2017.01.12 Thu posted at 09:31 JST

香港(CNNMoney) 中国のインターネット通販大手「アリババグループ」の創業者馬雲(ジャック・マー)氏が先ごろ、米国のドナルド・トランプ次期大統領と会談した際、今後5年で米国で100万人の雇用を創出すると発言したことについて、専門家からは疑問の声が挙がっている。

マー氏は工場を建設するわけではなく、オペレーションセンターを開設する計画もない。米国での大規模な投資に言及しているわけでもない。

言い換えれば、多くの専門家が雇用創出と定義づける事柄を約束したわけではないということだ。マー氏は米国製品を中国やアジアの消費者に販売する100万の中小企業を支援することで貿易を活発化させるとの見方を示している。

100万人の雇用を創出するには、こうした事業者が新規に1人を雇い入れることが必要かもしれない。しかし、アリババが運営する「淘宝(タオバオ)」「天猫」といったサイトの米国の貿易における存在感は今のところ、比較的小さい。

アリババの広報担当によれば、7000を超える米ブランドが150億ドル相当の製品を中国の消費者に販売したという。100万のブランドをそろえるには、事業を142倍以上拡大する必要がありそうだ。

チャイナ・マーケット・リサーチ・グループのディレクター、ベン・キャベンダー氏は、実際に起こるのは、中国市場開拓のためのサイドビジネスとして中小企業が電子商取引に手を付けるといったところだと指摘。大規模な雇用創出にはつながらないのではとの見方を示す。

マー氏はトランプ氏との会談で、米国の中西部に注力するとの考えを示唆。専門家からはこれについて、ウィスコンシン州の酪農業などを視野に入れた発言との見方が出ている。

こうした農業従事者が中国語が分からず、サイトの立ち上げのために第三者を雇うといったことはありそうだ。アリババは、企業が商品を配達するための倉庫を米国に開設する可能性も示唆しているほか、アジアへの配送なども支援するという。

こうしたことは雇用創出につながるかもしれないが、アリババの倉庫の大部分は物流ハブとしての自動化が進んでいる。

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