(CNN) フィリピンの首都マニラで9日、カトリック教徒が「ブラック・ナザレ」と呼ばれる黒いキリスト像をかついで市内を練り歩く行事があった。
毎年恒例の行事で、この像に触れると病気が治るなどの「ご利益」があるといわれている。
キリスト像は8日に市内のキアポ教会を出発。6.9キロの距離を22時間かけて進み、9日午前3時半頃に同教会へ戻った。気温が32度にも達する猛暑の中、沿道には多くの信者らが殺到した。
フィリピンのカトリック司教協議会は8日、1800万人の人出が予想されると述べていた。警察の発表によると、実際に集まったのは150万人前後とみられる。
ブラック・ナザレは木でできた等身大の像で、1606年にメキシコから渡来した。1767年にキアポ教会へ運び込まれた時、多くの信者らがその後を歩いたのが行事の始まり。411回目を迎える今年も 奇跡を求める人々がはだしで像を追いかけた。
信者らの小競り合いが起きることも珍しくない。今年は目立ったトラブルがなかったものの、高血圧やめまいなどの軽い症状で1300人余りが赤十字の手当を受けた。
同国の政府軍が5日、南部ミンダナオ島で過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」系のテロ集団と衝突して指導者を殺害したため、報復を警戒した警察が警備態勢を強化した。像の通り道では無人機を飛ばしたりリュックを背負ったりする行為が禁止され、携帯電話の信号もストップした。