(CNN) 南極の棚氷の動向などを調査する英国の研究者チームは7日までに、南極西部の棚氷で亀裂が発生し、巨大な氷山が分離して誕生する兆しがあると発表した。分離すればこれまで観測された中で最大級の1つになる可能性があるという。
その大きさは約5000平方キロで、米デラウェア州とほぼ同じ面積になるとも推定している。分離が予想されるのは「ラーセンC棚氷」の一角で、棚氷との接触部分の長さは現在20キロとなっている。
英国の研究プロジェクト「MIDAS」は昨年8月、ラーセンC付近の亀裂が半年間で22キロに拡大したと報告。同年12月には割れ目はさらに1カ月間で18キロ伸びたことを突き止めていた。
南極で今回のような過程で生まれた氷山は初めてではない。ただ、今回の分離が実際に起きた場合、ラーセンCの面積の10%以上が消えることになり南極半島の地形が根本的に変貌(へんぼう)しかねないことになると指摘した。
同プロジェクトに加わる研究者のマーティン・オリアリー氏はCNNの取材に、分離すればラーセンCの他の部分も不安定になり、海面上昇などにつながる可能性があると説明。ただ、分離しそうな氷山は確かに大きいが、地球の海洋ははるかにより大きいとも付け加えた。
ラーセンC棚氷付近では2002年、隣接するラーセンB棚氷が激烈な状態で崩壊し、南極大陸周辺の潮流に大量の氷塊を放出する状態となった。この時の崩壊前の状態は、ラーセンCの現状に類似しているという。また、1995年にはラーセンA棚氷も崩壊していた。
MIDASの研究者はこの2つの棚氷の崩壊を受け、ラーセンCの動向を注視し始めていた。
オリアリー氏は、ラーセンAと同Bの崩落は間違いなく気候変動の問題と関係していたと主張。ただ、ラーセンCについては気候温暖化と関連付けられる根拠を研究者は確認していないと述べた。研究者チームは、分離すれば数十年間にわたる研究で判明した地理学的な自然法則の現象が絡んでいる可能性があるとも考えているという。
南極の棚氷に亀裂、巨大氷山分離の兆し