作業員を貨物室内に閉じ込め、そのまま離陸 米旅客機

2017.01.05 Thu posted at 19:16 JST

(CNN) 米大手のユナイテッド航空は5日までに、同社関連の地域航空便で預け入れ荷物処理の男性作業員が機内の貨物室内に取り残され、目的地に到着した後、発見される異例の事態があったと報告した。

1時間のフライトを貨物室内で過ごす羽目となった作業員にけがはなかった。ユナイテッド航空が近距離線の運航を委託するメサ航空便で起きた騒ぎで、ノースカロライナ州シャーロットを離陸し、首都ワシントンのダレス国際空港に到着していた。

米コロラド州のデンバー国際空港で駐機場周辺の業務に長年携わっている関係者は今回の騒ぎに驚きを表明。預託荷物処理の作業員は同僚の居場所についての相互確認が決まり事になっており、今回の事態が発生したことに首をかしげている。

貨物室ドアを閉める前、内部をチェックするのが通常の手順の1つとも説明。預け入れ荷物の機内への運び入れに当たるのは3人が多いとし、収納室の大きさ次第で1人もしくは2人の作業員が同時に機内に入ることがある。

ただ、荷物の機内への移し替えは丁寧(ていねい)な収納などが求められる労力を非常に要する作業とし、悪天候などに見舞われた時は作業が停止したり、他の航空便からの荷物を待つ時間帯もあると指摘。それだけ、作業員が機内で眠ってしまう可能性もあるとしている。あってはならない行為だが、待機時間内などでの居眠りは始終起きているとも明かした。

機内の貨物室内で短時間の睡眠を決めた場合、貨物室内の隅に隠れるような形ではなくドアの近くで体を休めるとの工夫も共有されているという。

貨物室内は気圧調整されて酸素は十分あるが、一部の航空会社の貨物室にはこの条件が保障されていない。各航空会社の運航便の航路情報などを提供するサイトによると、メサ航空の今回の便は一時、高度2万7000フィート(約8230メートル)を飛行してもいた。機材はエンブラエル社製のE170型機だった。

CNNの取材に応じたメサ航空当局者によると、今回の不祥事を起こした作業員はユナイテッド航空の契約企業の所属だという。

今回と似たような事例は米アラスカ航空でも2015年に起きていた。男性作業員が荷物収納室内で寝込んでしまったことに気づかず同社便はワシントン州のシアトル・タコマ国際空港を離陸。この男性は途中で出発を知り、自らの携帯電話を使って緊急通報用の911番に連絡すると共に貨物室内の仕切りのパネル部分をたたく騒音を起こして異常事態の発生を知らせたため同便は離陸から14分後に同空港に戻っていた。

契約雇用の男性にけがはなかったが、その後、アラスカ航空での作業は禁じられる処分を受けていた。

作業員を貨物室内に閉じ込め離陸

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