トランプ氏、雇用対策の組織新設へ 議長に対中強硬派

トランプ次期米大統領。国家通商会議の新設を明らかにした

2016.12.22 Thu posted at 16:32 JST

ニューヨーク(CNNMoney) トランプ次期米大統領は21日、外国への雇用機会の大量な流出を阻止する戦略構築に当たる「国家通商会議(NTC)」をホワイトハウス内に新設する方針を明らかにした。

米国の製造業を再び偉大にするという大統領選中の公約実現に向けた措置。議長には、大統領選でトランプ氏の経済政策を助言してきた経済学者ピーター・ナバロ氏を充てる予定。同氏はトランプ氏同様、中国の経済政策を指弾する主張を繰り返してきた。

選挙戦中には「問題なのは貿易ではなく、貿易上の悪い取引」と強調。製造拠点の中国への移転を許してきた米国の背景要因を追ったドキュメンタリーフィルムも制作し、「米国を防衛し、家族を守ることに支援を。中国製品を買うな」とも呼び掛けていた。中国の軍事力を前面に出した路線が世界に与える意味合いを探った著作もある。

トランプ氏の大統領選では、著名投資家のウィルバー・ロス次期商務長官と共に経済政策の詳細の作成を主導。両氏は9月には「中国は世界で最大の貿易の詐欺師」ともこき下ろしていた。

議長にピーター・ナバロ氏を充てる予定

2氏は米国の経済成長を再度高め、連邦予算の均衡化を目指すトランプ政権の政策の支柱として減税の他、政府規制の10%の削減を提唱。ただ、どの分野で規制緩和に踏み切るかには言及していない。また、米国の貿易赤字を協定の再交渉などで5000億ドル(約59兆円)減らし、新たな油田開発や石炭消費の増大でエネルギー生産量を拡大することも訴えている。

トランプ政権が発足する来年の最大焦点の1つは、貿易政策での中国や他国に対する対抗措置の内容となっている。ただ、ナバロ氏のNTC議長就任とロス氏の商務長官起用は中国からの多くの輸入品阻止に傾く新政権の基本姿勢を示唆している。

米企業の最高経営責任者(CEO)やエコノミストの間では中国やメキシコの製品全てに大幅な関税を課した場合、貿易戦争が勃発(ぼっぱつ)し、結果的に米国人労働者や消費者に不利益となるとの懸念がある。ただ、ナバロ氏はCNNMoneyの取材に、この懸念は正しくなく、関税は「交渉の道具」との見解を示した。「米国は既に貿易戦争の渦中にあるとの事実を無視している」とも主張していた。

ナバロ氏は米ハーバード大学経済学部で博士号を習得。現在はカリフォルニア大学アーバイン校の経営学部教授を務めている。

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