沖縄の北部訓練場、4千ヘクタール返還 本土復帰後で最大

沖縄の米軍北部訓練場のうち4000ヘクタールが返還された

2016.12.22 Thu posted at 15:31 JST

(CNN) 米軍は22日、沖縄にある米軍北部訓練場(約7500ヘクタール)のうち約4000ヘクタールの土地を日本に返還した。1972年の沖縄の本土復帰以降、最大規模の返還とされる。

米国は、日米安保条約により、軍事施設を維持する権利が認められている。今回の土地返還と引き換えに、日本政府は沖縄に米軍のために複数のヘリパッドを建設した。

だが数十年にわたって米軍基地の全面撤退を求めてきた活動家らの怒りは収まらない。

沖縄平和運動センターの岸本喬氏はCNNに「(日本)政府に裏切られた気持ちだ」と語った。

岸本氏は、米軍は垂直離着陸機オスプレイの新しい滑走路が建設されたために不要になったものを返したに過ぎないと主張。沖縄には日本にある米軍専用施設の74%が集まっているが、今回の土地返還はそれを71%に減らしたに過ぎないという。

北部訓練場に建物や道路はほとんどなく、複数の絶滅危惧種が生息している。北部訓練場の一部返還は、嘉手納基地および普天間基地の将来的な返還計画の一環とされる。

米軍によれば、今回の返還により、沖縄県内にある米軍専用施設は17%減少する。

第3海兵遠征軍司令官で在日米軍沖縄地域調整官を務めるローレンス・ニコルソン中将は声明で、「今回の沖縄における訓練場の縮小が、日本政府や自衛隊と協力していくうえでの米軍の関与や能力を低下させることにはならない」と述べた。

安倍首相は21日、地域の平和と安定に向けて米国と協力するとともに、沖縄の負担を軽減していく姿勢を明らかにした。

だが沖縄の県民感情は割れている。沖縄県の翁長知事は返還式典には出席しないことをすでに表明している。

先週には垂直離着陸機オスプレイが沖縄県名護市沿岸に不時着し、住民の不安を深める結果となった。

オーストラリア国立大学のギャバン・マコーマック名誉教授によれば、この問題をめぐっては文脈を理解することが欠かせない。

マコーマック氏は「沖縄全体が1つの米軍基地だ。沖縄県民は基地は自分たちの防衛のためにあるとは感じられず、深い怒りをもっている。人々は単にオスプレイが引き起こす騒音問題だけを心配しているのではない。生命や身体の危機を懸念している」と指摘した。

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