(CNN) 米国のトランプ次期大統領は駐イスラエル大使に、親イスラエルで強硬派として知られる弁護士のデービッド・フリードマン氏を指名すると発表し、米国の中東政策の行方が注目されている。
フリードマン氏の指名を発表した政権移行チームの声明の中で、同氏はイスラエルの米大使館を現在のテルアビブから、同国とパレスチナが帰属を争うエルサレムへ移す意向を示し、その時を「楽しみにしている」と述べた。実現すればアラブ諸国との関係悪化を招く恐れがある。
フリードマン氏は1990年代にトランプ氏の弁護士を務めたことをきっかけに同氏と意気投合した。大統領選前からトランプ陣営の顧問として対イスラエル政策などを助言し、強硬発言を繰り返してきた。
今年6月にはイスラエルのテレビ局とのインタビューで、トランプ氏の中東政策はイスラエル政府の望む方向に従うと言明。「イスラエルは友人だ。トランプ政権は友人に忠義を尽くし、友人を信頼する」と強調した。
一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長を「正統な指導者ではない」と切り捨て、オバマ米大統領や民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏の中東和平をめぐる立場は「中立でない」と批判した。
またイランとの核合意については、破棄することが「トランプ政権の外交政策の主要な目標になる」と話していた。
さらに、パレスチナが新国家を樹立した場合、パレスチナ人の大半はその国家よりもイスラエルに住みたいと願うはずだと主張した。「中東のアラブ人が経済的なチャンスや最高の教育機会、医療を望むならば、あるいはたまたま同性愛者だったり女性だったり、市民の権利を主張したかったりするならば、イスラエルに住むべきだ。そういう権利や機会が与えられる唯一の場所だ」と語った。
今年8月に書いた論評でも、米国が中東和平の軸として支持してきたイスラエルとパレスチナの「二国家共存」という原則は「幻想」にすぎないとの見方を示し、大幅な政策転換を主張していた。