米ボーイングがイランに80機売却 国交断絶後で最大の契約

イラン航空は機体の老朽化が課題となっていた

2016.12.17 Sat posted at 17:33 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米航空機製造大手ボーイングは17日までに、国営イラン航空に旅客機計80機を売却することで最終合意したと発表した。

取引総額は約166億米ドル(約1兆9600億円)で、両国間の商談では国交断絶につながった1979年のイラン・イスラム革命以降では最大規模となっている。

しかし、同国との貿易交流にも否定的なトランプ次期政権や共和党の多数派の立場を踏まえた場合、今回の合意が振り出しに戻る可能性もある。トランプ氏は選挙戦中、イランへの制裁解除を「米国がこれまで関与した中での最悪の交渉」ともこき下ろしていた。

イラン航空への機材売却はオバマ政権が核合意に伴ってイランへの経済制裁解除を決めたことで可能となった。ただ、ボ社には売却機材をイランが軍事転用しない特別保証を得る条件が課せられていた。

売却対象の機材は、737型機が50機、777型機が30機。最初の納品は2018年の予定。今回の旅客機輸出に関する基本合意は今年6月に成立していた。最終合意では、イラン航空が航空機リース企業からボ社製の旅客機29機を別途に調達することへの支援も盛り込まれた。

イラン航空はかつてはコンコルドを発注した最も初期の航空会社の一つで、航空業界の最先端にいた

イランとの核合意を受け、米財務省はボ社の競合企業である欧州エアバス・インダストリーに対してもイランへの航空機輸出を承認。同社はイランへ118機を売却する契約の取り付けに動いている。

イランの航空業界は経済制裁のしわ寄せで機材の更新が出来ず、世界で最も老朽化し飛行の安全性が最も危ぶまれる路線との悪評も受けてきた。

米国はイランに対する経済制裁を解除したものの、その効力は核合意関連のみに限られる。他の制裁は維持しており、米企業などはイランとの取引をドル換算で進めることを依然禁止されている。ボ社やエアバスによるイランへの機材売り込みではこの決済上の制約が障害となり、銀行業界も二の足を踏む結果となっていた。

トランプ氏は最近、ボーイング社が受注契約を獲得した新型の大統領専用機「エアフォースワン」の製造費が高過ぎるとの判断も示し、同社を慌てさせていた。この中で同社はイランへの737型機などの売却は米国内で数万人規模の雇用の維持に直結すると強調。イラン向けの機材製造の就業者人口は10万人に達するとも弁護していた。

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