領土返還は望み薄、米国牽制の思惑も 日ロ首脳会談で米識者

安倍首相とロシアのプーチン大統領が山口県で会談

2016.12.16 Fri posted at 09:45 JST

(CNN) 安倍首相とロシアのプーチン大統領の会談が15日夜、山口県で行われた。日本が景気回復を目指し、ロシアは欧米による制裁をかわす目的でアジアに目を向ける中、両首脳は主に経済や安全保障問題について約1時間半にわたって話し合った。

米国の専門家は今回の会談について、ロシアには米国を牽制(けんせい)する思惑があると分析。北方4島の一部でも返還に応じることはあり得ないとの見方を示している。

安倍首相は15日の会談後、北方領土問題についても論議したと述べ、「4島における日露両国の特別な制度のもとでの共同経済活動、そして平和条約の問題について」議論したと語った。

北方4島はロシアが第2次世界大戦終結の3日後に占領した。それから71年たった今も、日本は4島を自国の領土と見なしている。

米専門家は北方領土をめぐる日ロ交渉の進展に懐疑的な見方を示す

日本政府の狙いは北方領土返還に向けた交渉の進展にあるのかもしれない。だがそうした成果は期待できそうにないと専門家は見る。

「たとえ北方4島のほんの一部の引き渡しであったとしても、プーチン大統領が合意に署名するとは考えられない」。国際安全保障問題に詳しいオハイオ州立大学のジェリー・ハドソン氏はそう指摘した。

米シンクタンク、ランド研究所のウィリアム・コートニー氏は、プーチン大統領の訪日には米国を牽制する狙いがあるとの見方を示し、「ロシアは米軍の基地や配備に対する支持を低下させ、軍備増大に対する日本国民の支持を揺さぶりたい考えだ」と分析している。

安倍首相はこの1カ月ほど前、米国でトランプ次期大統領とも会談している。

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