ロンドン(CNNMoney) 軍事情報企業「IHSジェーンズ(IHS)」は15日までに、中国の軍事費が2020年に10年の1230億米ドルからほぼ倍増の2330億ドル(現在の為替市場では約35兆1000億円)に膨らむと分析する新たな報告書をまとめた。
中国の軍事費の規模は現在、世界2位。現行の伸び率を見た場合、20年までには英国の国防費の4倍以上に達し、西欧諸国の軍事費の総計分を上回ると分析している。
アジア太平洋地域の諸国の国防費は近年、国内経済の成長と共に増加基調にある。近年、緊張感が高まる南シナ海の領有権論争が今後、軍事費をさらに押し上げる要因になるとも見ている。
IHSの首席アナリストは、アジア太平洋地域の軍事政策の重点は従来の領土防衛から、勢力圏の拡張へ移行していると指摘。同地域にとっては新たな政策上の潮流でもあり、関連諸国間で軍事力を試す遭遇が増える可能性を意味するとも分析した。
同報告書によると、アジア太平洋地域の大国でもあるインドの軍事費も大幅に増えている。今年は40億ドル増えてサウジアラビアやロシアを抜き、各国別での国防費支出では初めて上位5カ国内に入った。
18年までには英国を追い抜き、世界3位に浮上する見通し。同国は最近、最大で150機の新型戦闘機を調達する計画を発表。インド海軍はフランスの軍需企業DCNSにスコルペヌ級潜水艦を6隻発注した。近代化を狙う同国軍は装備品の更新を必要としており、インドは今後3年内に世界の兵器メーカーにとって需要の成長が見込める注目すべき市場に再度位置付けられるだろうとも予測した。
報告書によると、軍事費でこれまで上位国であり続けていたサウジアラビアとロシアは今年支出が減った。ロシアは昨年比で5.6%、サウジは3.6%それぞれ削減された。両国共に国家歳入源を原油輸出に大きく頼っており、原油価格の下落が財政難を引き起こす苦境に直面している。
米国は依然、世界最大の国防費を充て続けており、昨年は6220億ドルを超えた。16年における世界全体の軍事費のうち約40%の比率を示した。