スペイン名物の「昼寝」消滅か、標準時の変更提案

スペイン政府が国内標準時の設定変更を提案=Shutterstock/CNNMoney

2016.12.15 Thu posted at 16:06 JST

ロンドン(CNNMoney) スペインのファティマ・バニェス労働相は15日までに、同国の標準時の設定を現在の中央ヨーロッパ標準時からグリニッジ標準時に変更することを提案した。

変更が実現した場合、日本とスペインとの時差はこれまでのマイナス8時間がマイナス9時間になる。

スペインの標準時の設定は、実際の日の出、日の入りの時間とずれるため変更の是非が長年論議の対象となってきた。結果的に就業日が長くなることも意味し、勤め人らはまだ暗いうちに起床し、同国の有名な習慣である昼食後の「シエスタ(昼寝)」を取り、夜ふけに夕食を始める生活様式の定着にもつながっていた。

スペイン人の就寝は午前0時過ぎともされ、それだけ睡眠時間の不足や低い生産力をもたらすとの指摘もある。

同労働相の今回の提案は、勤め人らが家族と過ごせる時間を拡大すると共に、労働生産性の向上も狙ったもの。同国の労働市場の改革も視野に入れ、仕事が午後6時にきっちり終わることにもつながると期待している。

就寝時間の遅さが睡眠不足や生産性の低さにつながっているとの指摘も

同国政府の2013年の報告書によると、現在の標準時では国民が夕方に家族との憩いの時間を十分に持っていないとの実情が明らかになっていた。

中央ヨーロッパ標準時の導入はスペインで独裁政権を維持していた故フランコ総統が1940年代、ナチス・ドイツと歩調を合わせるために決め、1時間早めていた。

スペイン経済はまだ万全とは言えず、失業率は19%超で欧州ではギリシャに次ぐ高水準となっている。ただ、25%超だった13年からは改善しており、150万人が新規雇用されてもいた。しかし、国際通貨基金(IMF)は先に、生産性の微弱な成長と構造的に根深い失業問題が原因で17年には景気の足が鈍るとも予想した。

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