日本の自衛隊、その実力は<2> 水陸機動団の編成進む

2016.12.11 Sun posted at 17:00 JST

(CNN) 日本の安全保障に関するブログを主宰し、米海軍協会(USNI)ニュースにも寄稿しているカイル・ミゾカミ氏によれば、日本は海、空の軍備に加え、ほかの分野でもさらに力をつけようとしている。

まず挙げられるのは水陸両用作戦。日本軍が真珠湾攻撃に続き、太平洋諸島を攻略した際に編み出した戦法だという。

自衛隊は今年10月末から11月にかけ、北マリアナ諸島で実施した米軍との大規模な合同演習で、まさにその作戦の訓練を行った。

水陸両用作戦は、今の日本が安全保障上の最大の懸案とみなす尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題にかかわっている。

米議会調査局(CRS)によると、日本は現在、3000人規模となる水陸機動団の編成を進めている。

ミゾカミ氏は「日本がようやく米海兵隊に相当する部隊を設けようとしている、その理由はひとつ。中国との間で尖閣諸島問題を抱え、侵入された場合の奪還作戦に備えようとしているからだ」と指摘する。

日本にとってもう1カ所、厄介な場所となりかねないのは、中国が軍事施設の建設を進める南シナ海だ。

稲田防衛相は今年9月、自衛隊が米海軍などと共同のパトロールや訓練などを通し、南シナ海での活動を拡大すると述べた。

こうした地域紛争は、日本の軍事力を根底で支える日米同盟の試金石となるかもしれない。

トランプ次期大統領らが最近、台湾との関係をめぐって中国の怒りを買った一件は、アジア地域で新たな摩擦を引き起こす。日本も同盟国として米国を支持する立場から、その紛争に巻き込まれる可能性がある。

キューン教授は、自衛隊が「行き過ぎ」を避け、これまで自衛のために力を培ってきた道筋からそれないよう注意しなければならないと警告する。

「日本はアジアで領土を支配しなくてもビジネスをするというすべを見出した」と指摘。それは、第2次世界大戦で日本軍がやろうとしてできなかったことだという。

たとえ自衛に限定しても、日本の部隊が遠方で活動することは可能だ。国連平和維持活動(PKO)に参加してきた実績から分かる通り、海上自衛隊には部隊や装備を世界中に運ぶ能力がある。

PKOでの役割は今後、日本政府に難問を突き付けることになるかもしれない。日本では先月、PKOに参加する自衛隊に「駆け付け警護」の任務を付与する閣議決定が下され、任務の遂行に必要な武器使用が認められることになった。

新任務を担って南スーダンでのPKOに派遣される自衛隊員は、総勢300人余りになる。

日本の部隊が武器の使用を強いられる局面があるかどうか、あるとすればどの時点になるのか。それを予測することは不可能だが、ミゾカミ氏は「自衛隊員がすぐに引き金を引くとは考えにくい」と話す。

「自衛はするだろうが、戦いたくてしかたがないという心境ではないはずだ」と、同氏は言う。日本の部隊はこの70年以上実戦で敵を狙って撃ったことはなく、日本人司令官はだれも最初の1人になりたいとは思わないだろうとの見方を示した。

連載終わり

アジアにおける米軍の安全保障は

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