ニューヨーク(CNNMoney) 米国のドナルド・トランプ次期大統領は6日、米航空大手ボーイングが建造予定の大統領専用機「エアフォース・ワン(747型機)」に40億ドル(約4560億円)以上のコストがかかっていると主張し、発注をキャンセルしたいと発言した。
トランプ氏は同日、ツイッターへの投稿で、「ボーイングは今後の大統領のために真新しい747エアフォース・ワンを建造しているが、コストが制御不能になって40億ドルを超えている。注文を取り消せ!」と書き込んだ。
この投稿について記者団に質問されたトランプ氏は、「同機は完全に制御不能だ。エアフォース・ワン計画のために40億ドル以上かかる」と述べた。
トランプ氏は、40億ドルを超えているとした根拠は明らかにしなかった。ボーイングでは、エアフォース・ワンの現在の契約は1億7000万ドル(約194億円)相当だと説明している。
同計画に詳しいボーイングの関係者によると、国防総省がまだ新型エアフォース・ワンの具体的な仕様を決めていないことから、同社も現時点ではコストの見積もりができない状況だという。空軍が発注したいのが2機なのか3機なのかさえはっきりしないとしている。
ホワイトハウスのアーネスト報道官はトランプ氏が言及した40億ドルという数字について、「ボーイングと国防総省との契約の実態を正確には反映していないようだ」と語った。
これまでのところ空軍は、2機の新型エアフォース・ワンのために2021年までで29億ドル(約3300億円)の予算を割り当てている。この2機は、現在使われている747-200B型機の後継となる。
新型機は2022年からの運用を見込む。国防総省の予算によれば空軍は新型機の建造準備のため既に9300万ドルを支出済みで、これはボーイングとの現行の契約額に含まれている。製造はまだ始まっていない。
アーネスト報道官は6日、エアフォース・ワンの機内で記者団に対し、「現行機の寿命は終わりに近付いている」と説明した。
現在使われている2機のうち、1機はロナルド・レーガン大統領の時代に導入され、もう1機はジョージ・H・W・ブッシュ大統領時代の1990年に納入された。両機とも運用とメンテナンスにかかる経費が増大し続けている。
空軍はまだ新型エアフォース・ワンの正式な発注も行っていない段階だが、同機の基盤にはボーイングの最新鋭ジャンボジェット機747-8型機を選定。新型機には最新鋭の通信機能やミサイル回避システム、飛行中の燃料補給、VIP用の内装、核爆発で放射される電磁パルスからの防御といった装備が搭載される。