伊国民投票、憲法改正案を否決 レンツィ首相が辞任表明

国民投票での憲法改正案否決を受けレンツィ首相が辞任を表明

2016.12.05 Mon posted at 11:52 JST

(CNN) イタリアで4日、憲法改正の是非を問う国民投票が実施され、反対多数で改正案が否決された。レンツィ首相はローマで行った記者会見で、改正案は否決される見通しが明白になったと述べ、5日に辞任する意向を表明した。

レンツィ首相は支持者を前に、「敗北の全責任は私にある。負けたのは私であって、あなた方ではない」と述べ、「負けたからには何事もなかったように装うことはできない。私の政権は今日、ここで終わる」と断言。「イタリア万歳。幸運を祈る」と締めくくった。

国民投票では60%近くが反対票を投じた。この結果は欧州連合(EU)懐疑派のポピュリズム(大衆迎合)政党や国粋主義政党にとっての勝利と受け止められる。こうした勢力は、レンツィ首相や景気低迷からの脱却を掲げた首相の公約に強く反発していた。

今後の対応は大統領が決める予定で、現状の議会のままで組閣する可能性も、総選挙に踏み切る可能性もある。もし総選挙が実施されれば、コメディアンのベッペ・グリッロ氏率いる新興政党「五つ星運動」の躍進が予想される。

次回選挙での躍進が予想される新興政党「五つ星運動」を率いるベッペ・グリッロ氏

今回の国民投票は、欧州全土にポピュリズムが広がる中で実施された。フランスの右派政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首はツイッターへの投稿で、「イタリア国民はEUとレンツィ首相を拒絶した。国家の自由と保護を熱望するこの声に耳を傾けなければならない」と主張した。

改正案は、イタリア議会の複雑な仕組みを改める目的で上院の定数を315人から100人に減らす内容だった。しかし反対派は、上院の定数が削減されれば下院の権限に対する重要なチェック機能がはたらかなくなると主張していた。

中道左派のレンツィ首相は景気低迷からの脱却を掲げて憲法改正を訴え、否決されれば辞任すると表明していた。もし改正案が可決されていれば、ユーロ圏で3番目の経済規模を持つイタリアの政治環境は激変も予想されていた。

しかし銀行が多額の不良債権を抱える中で憲法改正案が否決されたことにより、同国経済の安定性は一層揺らぐ恐れもある。

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