(CNN) 国連の潘基文(パンギムン)事務総長は1日、2010年に大地震に見舞われた後でコレラが大流行したハイチで、国連が感染拡大を防止するための措置を十分に講じず、少なくとも1万人を死に至らしめたと認めて謝罪した。
国連は、地震から9カ月後にネパールの国連平和維持活動(PKO)部隊がコレラを持ち込んだことを長い間認めてこなかった。それまで150年以上、ハイチでコレラの発生例はなかった。
専門家や犠牲者の遺族、市民団体からは、川の近くにあったPKO部隊の基地が適切な下水処理を怠ったためにコレラが広がったとの批判の声が上がっていた。
任期終了を1カ月後に控えた潘事務総長は、新たなコレラ撲滅計画の発表に合わせて注意深く言葉を選んで謝罪の意を表明した。
「国連に代わってはっきり申し上げる。私たちはハイチ国民に謝罪する」と、事務総長は国連総会で述べた。「国連はコレラ発生とハイチにおける流行拡大に関して十分な対応を採らなかった」
潘事務総長はフランス語とクレオール語、そして英語で謝罪を述べるとともに、この問題によりハイチ内外での国連への信頼が揺らいだことを認めた。
「本件は、国連とハイチ国民の間の関係に影を落としている。世界的に見ても国連PKOおよび国連の名声に傷を付けた」と事務総長は述べた。
コレラの大流行は、地震後のハイチ再建の妨げとなってきた。また今年、大型ハリケーン「マシュー」がハイチを襲ったことが問題をさらに悪化させている。ハリケーンによるさらなる流行拡大が懸念される中、世界保健機関(WHO)は10月、100万本のコレラワクチンをハイチに送った。