米軍、シリア空爆でのミス認める ロシアからの電話も通じず

9月に起きたシリアでの空爆について、米軍が人的ミスを認めた

2016.11.30 Wed posted at 20:03 JST

ワシントン(CNN) シリア東部デリゾールで今年9月、シリア政府軍系の部隊が米軍主導の有志連合による空爆を受けたとされる問題で、米軍は29日、内部調査結果の要旨を発表し、標的を特定する際に人為的なミスがあったことを認めた。空爆が始まってからロシアが間違いを指摘しようとしたものの、電話が30分近く通じなかったことも明らかになった。

調査を指揮した米軍のコー准将によると、有志連合は9月17日の空爆で過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」を狙っていた。シリア政府軍を攻撃する意図はなかったが、人為ミスで標的がずれてしまった。

標的となった部隊は制服を着用せず、旗なども掲げていなかったため、ISISに見えたという。ISISのものとみられる車両を追跡したのも、実は間違いだったことが判明した。

これに先立ち、米軍とロシア軍の間ではシリア空爆をめぐる行き違いを防ぐためにホットラインが設置されていた。米軍はこのホットラインを通し、空爆の予定を初めてロシア軍に伝えていた。

ロシア側は空爆が始まってから、標的が数キロずれていることをホットラインで米軍に伝えようとした。しかし指定されていた担当者が電話に出られないと聞き、伝言を残さずに電話を切った。

しばらくしてかけ直したが、担当者はまだいなかった。ロシア側はこの時も伝言を頼まず、保留のまま待機した。

ロシアからの情報が伝わるとただちに空爆は中止されたが、その時点で1回目の電話から27分が過ぎていた。コー准将によると、計32回に及んだ同日の空爆のうち、15回がこの27分の間に実施されていた。

有志連合はロシア側に、今後は重大な情報があればただちに伝えてほしいと要請したという。

シリアでは当時、米ロの主導で停戦が発効していたが、政府軍はまもなく反政府派の支配地域に対する攻撃を再開。ロシアはデリゾールでの空爆が停戦を崩壊させたと非難した。

この空爆で死亡したシリア政府軍の兵士はロシア軍によると62人、有志連合側が確認したのは15人だった。

コー准将は「15人以上が死亡したことは確かだが、正確な死者数は確認できなかった」と述べた。

同准将の話によると、ハリギアン米中央空軍司令官は誤爆の再発防止に向け、標的を特定する手順の見直しを指示した。

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