オハイオ州立大襲撃、容疑者にISISの影響 捜査当局

襲撃事件の容疑者について、ISISへの感化を示唆する証拠が見つかった

2016.11.30 Wed posted at 09:42 JST

(CNN) 米中西部オハイオ州コロンバスのオハイオ州立大学で28日に起きた襲撃事件の容疑者は、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」やイエメン系米国人のイスラム指導者、アンワル・アウラキ師の影響を受けていたことが分かった。捜査当局の情報筋が明らかにした。

同大学の学生でソマリア移民のアブドゥル・ラザク・アリ・アルタン容疑者は車で歩行者の集団に突っ込んだ後、刃物で周囲の人々に切りつけ、駆け付けた警官に射殺された。負傷者11人のうち、3人は29日の時点で入院中だ。

捜査当局は容疑者のパソコンや携帯電話を調べ、家族や知人から話を聴くなどして動機を調べている。

情報筋によると、アルタン容疑者は犯行前、フェイスブックへの投稿でアウラキ師に言及していた。また犯行の手口は、ISISが最近オンライン機関誌で奨励していたのと同じ形だったという。

アウラキ師はイエメンのアルカイダ系テロ組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」を率いていたが、2011年に米軍の作戦で殺害された。

ISIS系とされるメディアはアルタン容疑者を「ISISの兵士」と呼んでいるが、容疑者がISISと直接連絡を取った形跡はなく、「一匹おおかみ(ローンウルフ)型」の犯行だったとの見方が強い。

アブドゥル・ラザク・アリ・アルタン容疑者

アルタン容疑者は14年、家族とともにパキスタン経由で米国へ渡り、永住権を獲得していた。コロンバス州立大学から今学期、同大学に編入したばかり。8月に発行された学生新聞のインタビュー記事では、イスラム教徒としてキャンパス内に礼拝の場所を見つけるのに苦労していると明かし、「堂々と祈りたいと思ったが、メディアがこういう報道をしているなかでは恐怖感を覚えた」などと述べていた。

捜査当局者らによると、容疑者はフェイスブックに犯行直前、同じイスラム教徒たちが「殺され、痛めつけられる」のを見るのは「もうたくさんだ」などと投稿。米国に対して「他国、特にイスラム世界への介入をやめろ」「イスラム教徒に平安を与えない限り、お前たちを眠らせない。祝日を祝い、楽しむこともさせない」と書き込んでいた。ミャンマーでの人権侵害をみて「我慢の限界を超えた」とも主張していた。

隣家の女性は容疑者の家族や本人をよく知っていて、毎日言葉を交わす仲だと話し、容疑者について「とても感じが良く、あんなことをする人とは思えなかった。まだ信じられない」と語った。犯行前に普段と変わった様子はみられなかったという。

捜査当局は防犯カメラの映像から犯行前の容疑者の足取りを割り出した。車に同乗者の姿はなく、単独犯だったと断定している。

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