イスラエルで山林火災が多発、「放火テロ」を警戒

焼失した民家から山火事の様子を監視する当局者=23日、ナタフ

2016.11.26 Sat posted at 17:31 JST

エルサレム(CNN) イスラエル北部ハイファ市などの各地で26日までに大規模な山林火災が発生し、同国の救急医療当局者によるとこれまで煙を吸い込むなどした住民ら35人が手当てを受けた。

死者の発生は伝えられていない。焼失の面積も不明。同国の警察当局者は北部や中部で発生した全ての火災の延焼を封じ込めたと宣言した。

消防当局の捜査部門責任者によると、過去1週間内に各地で報告された火災は1500件以上。通常の倍の水準で、原因は不注意か放火との判断を示した。

エルダン警察相は24日、火災の相当な部分は放火が原因との見方を表明。「放火テロの新たな兆候がある」とも警戒した。ロイター通信によると、ネタニヤフ首相も同日、火災が放火であるならテロに等しいと述べ、イスラエルの一部を焦土にする者は厳しく罰すると強調した。

同国警察の報道担当者は、一連の火災に関連し25日までに12人を拘束したと述べた。放火もしくは失火の容疑者なのかは明らかでない。

イスラエル北部での火災は22日、ハイファの北方約35キロにある住宅地で発生。翌日には同国中部モディン近くでも起きた。ハイファでは火勢が計11地区に迫ったことから住民6万人に退避命令が出ていた。25日朝には折からの強風で火災が広がった。

イスラエル北部ハイファ市などの各地で山火事が発生

ただ、消火作業などが進んだこともあり同日にはハイファの全住民が帰宅することが許された。同市のヤハブ市長は24日、民家700棟が焼損もしくは全焼の被害を受けたと報告した。ハイファでは前例のない火災被害としている。

火災はナタフ、エルサレム西部にあり農業共同体社会を築く地区や主要都市テルアビブなどでも報告された。25日午後に出火していたエルサレム西部の火災では、火勢を食い止めることが出来ず約100世帯が避難していたという。

山林火災の多発を受けネタニヤフ首相は世界各国に救援を要請。ロシアのプーチン大統領は同首相との電話会談を受け大型の消防用航空機2機の派遣に同意した。トルコやイタリア、クロアチア、キプロスも支援を申し出た。米国の防火関連企業も消火用に改造された大型機のボーイング747をイスラエルに向かわせたという。

パレスチナ自治政府の民生防衛当局者は、イスラエルの要請を受け、消防車8台を24日に提供したと述べた。

今回の大規模火災に伴い、イスラエル議会の一部議員や地元メディアがその原因をパレスチナ側になすりつける動きも生まれている。ソーシャルメディア上ではパレスチナ住民の火災に関する書き込みも目立ち、イスラム教徒に礼拝を呼び掛ける拡声器使用を禁じる法案がイスラエル議会で審議されていることに絡んで神の処罰と断じる投稿もあった。火災を歓迎するかのような書き込みに対してはアラブ系住民からも被災地に住むパレスチナ系住民も被害者になっていることを踏まえた批判も出ている。

イスラエルでは2010年にも大規模な山林火災が起き、40人以上が死亡していた。

イスラエルで大規模な山火事

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