死海の水位、低下の一途 泳いで横断の啓発イベントも

椅子を持ち込み、死海の水の中でくつろぐ観光客

2016.11.21 Mon posted at 16:00 JST

(CNN) イスラエルとヨルダン、パレスチナのヨルダン川西岸に囲まれた塩湖の死海が急速に縮小し続けている。この現状に警鐘を鳴らすため、今月に入って死海を泳いで横断するイベントも開かれた。

環境保護団体によれば、死海の水位は年間約1メートルのペースで縮小を続ける。原因は主に人間の活動にあるという。

死海はヨルダン川など周囲の天然資源から流れ込む水で形成されているが、1960年代ごろから死海の水源だった水が別の用途で使われるようになった。例えばイスラエルでは、国内に水を供給するためのパイプラインがこの時代に建設された。

採鉱業も水位低下の一因となっている。死海の鉱物は癒やし効果があると宣伝され、化粧品などの消費者製品に使われるようになった。中東の暑く乾燥した気候の中で水位を保つことはただでさえ難しい。

備え付けのシャワーで肌についた塩水を洗い流す観光客

イスラエルとヨルダンは昨年、死海の水位安定を目指す9億ドル(現在のレートで約990億円)のプロジェクトに調印した。紅海から死海につながる運河を建設し、水を両国に供給すると同時に死海へも送り込む計画。3年後に完成する見通しだが、この計画が予定通りにうまくいくかどうかはまだ分からない。

しかし今のところ、死海は人気観光地として世界中から観光客が詰めかける。死海の塩分濃度は34%前後。水位低下の影響で濃度は濃くなる一方だ。

今月開かれた水泳大会には世界から約30人が参加。ヨルダンからイスラエルへと約14キロを泳いで横断した。参加者は目と口を守るためにフェイスマスクを着けて臨んだが、それでも参加者の1人は「眼球が酸に焼かれるようだった」と振り返っていた。

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