アレッポ空爆、「ホロコースト」と活動家 毒ガス使用の疑いも

空爆で負傷した少女を抱えて運ぶボランティア団体の男性

2016.11.21 Mon posted at 15:11 JST

(CNN) シリア政府軍は北部アレッポで、反体制派が拠点とする市東部への攻撃をさらに強めている。情報筋が20日までに語ったところによると、空爆は過去5年にわたるシリア内戦でも最悪の規模とされ、有毒な塩素ガスが使われた疑いもある。

アレッポ東部への空爆は15日から連日実施されてきた。現地の救助ボランティア団体「シリア民間防衛隊(通称・ホワイトヘルメッツ)」によると、19日までに少なくとも289人が死亡した。

国連の潘基文(パンギムン)事務総長はシリアでの「無差別砲撃」を非難する声明を出し、敵対する全勢力に向けて「民間人や民間施設に対する攻撃は戦争犯罪だ」と指摘した。

現地で支援活動に当たる反政府団体「アレッポ・メディア・センター(AMC)」が公開したビデオには、東部の住宅地で死亡した一家の遺体が映っている。大人2人、子ども3人の遺体が毛布をかけられてトラックの荷台に横たわり、近隣の住民がその周りを囲む。遺体は普段着姿で、目を大きく見開き、口も開いたままだ。

空爆による子どもたちの犠牲も増え続けている

ビデオに映った男性は「寝ている間に近所でたる爆弾が落ちた。降りていくと塩素ガスだった。亡くなったのは活動家でもなんでもない、夫婦と4人の子どもたちだ」「一番大きい息子もまだ10歳だった」と語った。遺体のポケットから取り出したという硬貨を見せ、ガスで変色していると説明する男性もいた。

別の若い男性は「夜中の1時ごろ、爆発音で目が覚めた。塩素ガスだった。母は息ができなくなり、義理の兄弟は口からあわを吹き始めた」と訴えた。

アレッポ東部は今年7月から政府軍に包囲され、深刻な物資不足に陥っている。「独立系メディア活動家」を名乗る住民男性はCNNに「アレッポ市内はまるでホロコーストだ」と語った。国連は20日、人道物資を届けるための詳細な計画を関係者に提示したという。

一方で、政府軍支配下のアレッポ西部でも民間人が犠牲になっているとの情報がある。ムアレム外相は首都ダマスカスでの会談で、反体制派が西部の学校にロケット弾を撃ち込み、生徒10人が死亡したと発表。「子どもたちが何をしたというのだ」と問い掛けた。国営シリア・アラブ通信(SANA)は、この攻撃で8人が死亡したと伝えている。

アレッポ空爆、標的となった病院の惨状

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